屋久島撮影旅 第4話 – 「縄文杉」

      2018/08/02

縄文杉の前で

第3話「山男たちの気迫。白谷避難小屋編」に戻る

 

7月23日(月)

22:50

結構寝たような気がして起きて時計を見たら、まだこんな時間だった。1時間半くらいしか眠っていない。

身じろぎすると、背中や腰が痛い。スポーツ店で借りたマットは、5mmくらいのウレタンにアルミホイルみたいなものを貼っただけのものだ。硬い床に敷いても、冷気を遮るくらいしかできないのだろう。

こんなことであれば、家からモンベルのマットを持ってくればよかったか。アレは、たとえ地面がデコボコの丸石であろうと快適なのだ。

しかし、無い物ねだりをしても仕方がない。荷物から丸めたウェザージャケットを取り出し、腰に当ててまた眠ろうと試みる。しかし、一度目が覚めてしまったのでなかなか眠れない。

眠れないと、うっすら漂ってくる糞尿の臭いがまた気になってくる。ヤバい、明日早いのに。

 

7月24日(火)

0:30

あまりにも眠れないので、胡座をかいて座禅の真似事をする。座って鼻の位置が多少高くなると、例の臭いが弱まるという実際的な理由もある。

薄く目を開けてただ座る。沢の流れなのか、雨が降っているのか、絶え間無い水音が聞こえる。周りは漆黒の闇。月明かりは避難小屋の中まで入ってこない。だから、今聞こえているのがどちらの音なのかすら分からない。

何も考えずに水音を聞いていると、少しずつ眠気を感じてきた。すかさず横になる。

 

4:00

起床。

いつのまにか寝ていたようだ。全身がやや軋むが、今度はちゃんと眠れた。睡眠時間は短いが、やむを得ないだろう。

外は満天の星空。一気に目覚める。こんな星空、見たことがない。

(この夜空を取り損ねたことが、今回唯一最大の伊織の失策)

 

4:30

御調さんが用意してくれた朝食をいただく。

 

「駒田さん、何個食べますか?」

「そうですね〜、2個ください」

「それだと少ないと思いますよ」

 

このアドバイスは後々効いてくる。3人とも、きなこ餅を3個ずつ食べた。腹一杯。

 

5:04

白谷避難小屋、出発。

避難小屋出発

 

空はうっすら明るくなってきたようだが、森の中はまだ暗い。それなのに、御調さんの足取りは軽い。

…っていうか速すぎる。置いていかれたらまずい。頑張れおれ。

 

5:50

スタート直後から激しいアップダウンが続き、周囲は真っ暗闇なこともあって、それなりに体力を消耗する。

しかし、6時を前に徐々に明るくなってきたので、歩きやすくなってきた。これならなんとかついて行くことができそうだ。

突如、ひらけた場所に出る。安房森林軌道、通称「トロッコ道」と呼ばれるところらしい。確かに、小さな線路が敷かれている。

線路の真ん中には板が渡されている。緩やかなアップダウンはあるが、ここなら走ることができる。ここで距離と時間を稼いでおこう。

 

6:35

トロッコ道を20分ほど走り、終点へ。湧き水を汲んで飲み、一息つく。

この山道にはところどころ天然水を飲める場所がある。ホースから綺麗な水が流れ続ける「給水所」のようなところが何ヶ所もあるのだ。

だから、トレラン大会で背負うようなハイドレーションバッグはとりたてて必要ない。500mlのペットボトルひとつあれば、途中で水の補給は十分可能というわけだ。それなりに軽装でもいけるのはありがたい。

ただし、フォトグラファーはこの限りにあらず。伊織の荷物はヤバい。

トロッコ道終点

一息ついたところで、これからさらなる山道へ。いよいよ縄文杉アタックだ。

 

7:20

 

はあはあ。

 

はあはあはあ。

 

屋久島のガイドさんたちの間で通称「地獄の一丁目〜三丁目」と呼ばれる激坂をクリアした。

トロッコ道終点に「1」と番号がふられていたが、今は「30」と書いてあるのが見える。縄文杉は「50」らしい。まだ半分と少し。

さすがの伊織も息が上がっている。重たい機材を背負っているのだから無理もない。

問題は俺だ。何という発汗量。Onバッグまでビチャビチャになっている。

あまりにも暑いため、沢で水をかぶる。やっていることはトライアスロンのレースと変わらない。

少し違うのは、沢にシューズごと足を浸すクーリングだ。クラウドベンチャー ウォータープルーフのおかげで、足は沢の水でひんやり感じるのに、実は一切濡れていないという不思議な感覚を得られる。これは新しい。

足クーリング

身体も足も冷えて少し元気になったので、再出発。

 

7:30

「世界自然遺産地域 (World Natural Heritage Property)」と書かれた看板発見。ここから先が、屋久島を世界自然遺産たらしめたエリアのようだ。

白谷雲水峡は世界自然遺産ではないということか。あれほど美しいというのに。

ここから世界自然遺産地域

 

7:45

「49」の札発見。あと少し…!

大王杉の前

 

7:50

白谷避難小屋を出発して3時間。ついに、縄文杉に到着。

これが屋久島で最高齢の杉。樹齢7,000年とも言われているらしい。紀元前5,000年にどんなことがあったのかを軽く調べてみると、こんな感じだ。

 

・文字の発明
・ヨーロッパで鍬の使用開始。
・中国でヤギやヒツジの家畜化。

 

「文字の発明」って…。そんな昔からこの杉はここにいたのか。そう考えると感動もひとしおだ。

伊織が歌い出した。奴も感動しているらしい。

しばしその場に立ち尽くして、偉大な自然と歴史に想いを馳せた。

縄文杉の前で

 

第5話「地味な致命傷」に続く

※ 縄文杉までたどり着くには、なかなかの体力が必要とされるようです。応援バナーのクリックをお願いします。
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