「何を目指してるの?」という質問。

      2018/10/12

Karategi

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元々人並み以上に弱かったためか、俺は「強さ」という漠然としたものに憧れの念を持ってきた。

子供時代はより直接的な強さに憧れ、空手を始めた。黒帯を締める人間たちは、当時の自分にとってヒーローだった。

拳生会_1

 

初段を取ってはじめて黒帯を締めたときは、感動こそしたものの、「自分はヒーローだ」とは思えなかった。以前より強くなっていることは実感していたが、俺がヒーロー視した人たちと自分が同じとは到底思えなかったからだ。

今思えば、それは当然だ。初段というのは、言ってみれば「一通りの技を覚えた状態」に過ぎないからだ。武道でよく使われる「守・破・離 (しゅ・は・り)」という修行の段階を示す言葉で言えば、「守」を一回ししたくらいだろう。黒帯を締めてから、本当の稽古が始まるのだ。

技を反復練習し、基礎的な筋力を鍛え、組手をして改善点を見つけ、型から組手のエッセンスを抽出する。拳を鍛えるために砂袋を叩き、拳立て伏せを行い、鍛えた拳で自分の身体を叩く。そういう地味な作業をひたすら繰り返すのが空手の稽古だ。

Karategi

 

そして、それを繰り返し数年、数十年と続けていくと、いつか「あなたは普通じゃない」と言われるときがくる。

例えば、組手をしているとき、相手の突きや蹴りをいくら食らっても痛くも痒くもないと感じるときがくる。何気なく振るった拳で、防御した相手の腕が腫れ上がってしまうときがくる。あるいは、以前腕相撲で負けた相手を、何の苦もなく捻ってしまうときがくる。

それでも、かつて憧れた「強さ」ははるか遠くに感じる。実際のところ、上には上がいるものだ。プロ格闘家、武道で生計を成り立たせている者、そういう人たちの全てとは言わないが、一部は確実にはるか高みにいる。

だから、また地味な作業を繰り返す。すると、こう言われる。

 

「何を目指してるの?」

 

 

はじめてそう聞かれたときは戸惑った。そんなことを考えたことはなかったからだ。

質問されたその場で、自分が稽古している意味を考えて答えたこともある。「自分の身を守るため」「精神も鍛えるため」などは典型的な答えだろう。しかし、それらは必ずしも自分の中で納得いくものではなかった。

今、俺は武道の世界以外に、ランニングやトライアスロンの世界を垣間見ている。「何を目指してるの?」と聞かれるような人を何人か知っている。

そういう人たちは、トレーニング自体を楽しんでいるように見える。「スパルタスロン優勝」や「アイアンマン世界選手権出場」など、目指しているものはあっても、それだけが全てではなさそうだ。

そして、ようやく納得いく答えを見つけたのだ。「何を目指してるの?」に対して、今ならこう答える。

 

「ただ楽しいからやってる。好きだから続けてる」

 

自分にとって本当に大切なことはシンプル。

あれこれ考えた後に残るのは、混じり気のないシンプルさだ。

 

次回「君たちはなぜ走るか、と問われて」に続く

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