ウォリアー・プリンセス – 第9話「松原その子、因縁の対決」

   

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第8話「河原勇人直伝の必殺技」に戻る

なんだかやたら疲れているが、これは駅伝。途中でやめるわけにもいかない。

沼津のバイクコースは、海沿いを10km走って折り返す、シンプルかつ平坦なコース。たった20kmと思っていたが、日差しがキツくかなりしんどい。折り返すと、今度は向かい風でなかなか進まない。

不思議だ。確か俺は180km走れたはずなのに。先月の湯原温泉トライアスロンの65kmは命からがら。今回はたった20kmなのに、なんだかやけに苦しい。もしかして、俺、だんだん弱くなってるんじゃ…。

重いギアでグイグイ踏むのはやめにして、軽いギアでクルクル回すことにする。この作戦、アイアンマンでやるやつの気がする。ともかく、抜かれることはない。逆に何人か抜く。

すると、前方に見覚えのある姿を捉えた。「ハマの仕留めるリスト」トップに君臨するもう一人。永遠のいたずらっ子、ZOOTからの刺客、松原その子。ここで会ったが100年目。昨日、この俺を海の藻屑としてくれた恨みは忘れていない。

足首の調子が思わしくないと聞いていたが、「仕留めるリスト」に入っているのだ。悪く思うな。一段ギアを上げて一気に抜く。抜きざま、「あれー??」と声を上げるその子。うむ、抜いた俺が一番ビックリしている。

この俺はハマのダンディズム。ケガ人にこそ容赦ない男。

Bike 20km: 0:46:22

ひとり仕留めた俺は、意気揚々とバイクフィニッシュに戻ってきた。あとは5kmのランを残すのみ。しかし、やはり沼津は暑い。38°Cくらいは余裕でありそうだ。

スタート直後のエイドで、水鉄砲のオバケみたいなものを装備したチームTRIONのブチくんから、ガンガン水をかけてもらいスタート。ブチくんが大きな声で「ファイトー!!」と声をかけてくれたので、俺も負けじと大きな声で「結婚おめでとーう!!」と返す。

沼津のランコースは、1周約2.5kmの松林の中を2周する。沼津の厳しい日差しは、松林に遮られるので少しはマシになる。しかし、風がなくなる分、暑さは堪える。

松林に入った途端、予期していなかった問題が発生した。足元が砂利なのだ。そして俺の履いているのはクラウド。今では世界最高のランニングシューズのひとつに数えられるクラウドの、たった一つの弱点。「小石が挟まる」…その弱点をピンポイントで突いてきた。

足底から少しずつ硬い感触が伝わり始めてくる。小石が挟まり始めたのだろう。おのれクラウドの野郎、カチャカチャ言わせやがって。しかし気にせず走る。どのみち、このコースはほぼ全てがトレイルだ。ロードに戻ったときに小石は取ればいい。

それにしても暑い。熱中症になりそうだ。松林の中のエイドで立ち止まり、紙コップに入った水を次から次へとひっかぶる。紙コップ5杯分くらいはかけたはずだ。少し楽になったのでまた走る。

松林を抜けると、各メーカーのブースを通り過ぎる。仲間たちの応援を受け、必殺#お前のハートにバキューンを繰り出しつつ、ガンガン低速走行を続ける。

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2周目に入り、ぐるりと松林の中を走っていると、向こう側に先ほど仕留めたはずのいたずらっ子が見えた。少しずつ差を詰められている気がする。追いつかれるわけにはいかない。しかし、暑さはいかんともしがたい。またもやエイドで立ち止まり、水をバシャバシャかける。

エイドを過ぎて少しした頃、背後からヤツの気配を感じた。やはりエイドで立ち止まっている間に来たか。

「どうだ、コンディションは」

「足首ヤバーい!」

確かにこの不整地は足首にあまり良くなさそうだ。グネるリスクはアスファルトより随分高い。

「ほら私たちってさ〜、アイアンマンじゃん?こういう追い込むのって、慣れてないよね〜」

「うむ、おれもアイアンマンだからな ( ̄— ̄)」

その子先行、俺後追いでぼやきつつ走る。作戦はシンプル。その子の背後にピタリとつき、プレッシャーをかけつつ、最後にハマのスプリントで一気にブチ抜くのだ。ズルいと笑わば笑え。

松林を抜ける。ここから一気に行く。メイストームブースが近づいてくる。そこに「ハマの仕留めるリスト」にノミネートされている大貴さんがいた。半笑いで叫ぶ大貴さん。

「その子さん危なーい!後ろに駒田さんがーー!!」

俺の高度な作戦をバラすでないわ!

危ないってなんだ、俺は変質者か!

大貴さんの期待(?)に応えるべく、グッとその子よりも前に出る。その子が追い縋ろうとするのを、手で払うようにジャマをする。メイストームブースがドッと沸く。かつてない低レベルな争いに感動しているのだろう。

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勢いづいた俺はそのままスプリントをかけ、一気にフィニッシュラインを駆け抜けた。ケアンズと同じように、両拳を突き上げ雄叫び。勝った。どうだオイ。後ろを振り返る。

「あれ…?」

その子がフィニッシュライン15m手前でキョロキョロしている。そして引き返す。「何してるんだ?」と見ていると、先ほど俺がダッシュした道の横をタッタッタと走って行った。

「しまったぁー!駅伝だったぁー!!」

ガッツポーズをキメてフィニッシュしたと思い込んでいた10秒前の俺をブン殴りたい。ゴールから逆走し、その子が通った横道をガックリしながら走り、カズを見つける。

「駒田さーん!どこ行っちゃったんですかーー!!」

すまん、カズヤスコに繋いでやってくれい。俺はもうここまでだ…。

Run 5km: 0:29:17
Total (Swim 750m/Bike 20km/Run 5km): 1:33:00

ちなみに、この後、その子の大勝利宣言があったのは言うまでもない。口惜しい。

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第10話「世界の鎌田、楽しむ」に続く

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