ウォリアー・プリンセス – 第8話「河原勇人直伝の必殺技」

   

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第7話「またもMPゼロ、逃げ場なし」に戻る

何が何やら分からないまま海に飛び込み、四方八方から殴られ蹴られ押されている。やられてばかりはいられない。俺もグイグイ前に進むべくもがく。

「駒田さん!水よりも固体を掴んだ方が前に進めるのです!」

笑いの刺客・河原勇人からのアドバイスを思い出す。混戦になったときは、他の人の肩に手がかかるのはよくあることらしい。そんなことを思い出していると、俺の肩に誰かの手がかかった。背中の上を誰かが通過する。

背中の上を通られるのだ。当然、身体は沈む。息を止めてそれを耐えてやりすごし、息継ぎしようとするともう1人乗っかってくる。それはいかん。溺れてしまうだろ。肘を高く上げて払い落とす。

ゴチャゴチャの混戦のまま最初のブイを回り、岸と並行に300mほど進むことになる。周囲はかつてないほど混雑している。こんなに周りに人がいるスイムははじめてだ。ヘッドアップする必要がない。ひたすら周囲の流れに乗って進む。

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ふと、左隣の選手がものすごく笑いながら泳いでいるのに気づく。女性だ。満面の笑みを浮かべている。そして、息継ぎしながら俺に向かって手を振っている。

コイツもしかしてアホなんじゃ…。二度見、三度見してようやく気がついた。Running Style・柴田恵美。「ハマの仕留めるリスト」の上段に載っている選手である。河原さんの声が頭の中に響く。

「入水して伸ばしたテキの腕に、こちらの腕を合わせて乗っけるワザもあります!」

「それ、相手溺れちゃうんじゃ。。。」

河原さん、今こそあの必殺技を出すときがきたようだ。あのときは危険すぎるワザだと思ったが、このエビス顔にだけは目にモノ見せてやらずにはいられん。

恵美ちゃんの方に何度か手を伸ばすがタイミングが合わない。3回目くらいにグイーンと腕を伸ばしたとき、俺の腕の上に怒涛のように殺到してくる男性選手。前方にもんどりうって溺れる俺。禁断の必殺技返しを食らっている間に、気がつけば柴田恵美は消えていた。

めっきり意気消沈し、折り返した後は早い潮の流れに押し流され、特に見るべきところもなくスイムフィニッシュ。手元のTIMEXによれば15分くらい。

岸に上がると、一歩目から飛び上がるほど痛い。千本浜は砂浜ではなく、大小の石で覆われた岩場に近い。日々の悪ふざけという名のハードワークに追われている俺の不健康な足裏は、この岩場で完全に粉砕された。

やたら時間をかけて計測ポイントを通過し、バイクに乗る。なんだかおかしい。この時点でやたら疲れている。

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Swim 750m: 0:17:21

第9話「松原その子、因縁の対決」に続く

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