ウォリアー・プリンセス – 第2話「スライディング土下座と目力ビーム」

      2016/10/20

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第1話「ダメダメ詐欺」に戻る

「そろそろ行って参ります…」

「行ってらっしゃい!」「楽しんで!」と応援するカズヤスコに一瞬微笑みを向けた後、それでもライトサイドに戻りきれなかったアキコは、何かに引きずられるようにスタート地点へ移動して行った。まあ、なんのかんの言って、ちゃんとやるだろう。

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宮古島トライアスロンを完走したばかりの俺は、実に清々しい気持ちで選手達のレースを観戦していた。またDNFに終わっていたら、今頃は俺もダークサイドにいたに違いない。

観戦・接客の合間を縫って各ブースを回り、関係者に挨拶していると、奥山さんを見かけた。横浜トライアスロンEXPOへの出展を取り仕切ってくれている人だ。そして、VENTUMのブースを出展するSUNNY FISHの弘道さんとも会えた。弘道さんとは、宮古島トライアスロンぶりだ。嬉しい再会でテンションが上がり、俺とカズ、奥山さんと弘道さんの4人で昼メシを食べに出かけた。

ところで、弘道さんは俺の命の恩人と言っても過言ではない。宮古島トライアスロンの翌日、完走に浮かれていた俺は、カズと宮古島市総合体育館のゲート前で勝利の記念撮影をしていた。

しかし、そのゲート脇に、ブース販売の売り上げを入れた箱をまるっと置き忘れたまま、昼メシを食べに出てしまったのだ。以下の写真で、ゲート左下に黒い箱が置いてあるのが見えるだろうか。それが売上金を入れた「金庫」だ。

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そうとも知らず、俺たちはCEEPO田中さんに教えてもらった異常にうまいピザ屋ピザ道楽で、ようやく復活した食欲に任せてガンガン食っていた。トロリととろけるチーズがうますぎる。これはコマログ4.8あるな、このうまさでこの値段は安すぎるな、と思った瞬間。

値段…?

お金……?

……売上金!!!

たちけてーー!!!

この瞬間、「Onジャパン責任者売上金紛失、まさかの引責辞任」という見出しが俺の頭をよぎった。真っ青になった俺とカズとで方々に電話すると、弘道さんが「金庫」を確保してくれていたことが分かった。

すぐさま総合体育館に戻り、弘道さんの姿を見つけた瞬間、俺はナチュラルにスライディング土下座をキメていた。レース翌日だというのに、意外とまだ動けるではないか…と場違いなことを考えながら。

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※ このときの弘道さん、ワルい顔しとるで。

そんなことを思い出しながら、今ここでのんびりメシを食えている幸せを噛みしめていると、急にシリアスになった奥山さんの声が響いた。

「ところで駒田さん」

前の席に座った男の目がギラリと光る。それまでのゆるい雰囲気が一変する。弘道さんとカズまで背筋が伸びる。俺は彼の目力に射抜かれ、動くことすらできない。

「お願いが……いえ、何も言わず、まずは『はい』と言ってください」

「は、はははい。。。」

なんだ、この怒涛の詰めは。おれ、何かやっちまったんだろうか。

「ありがとうございます。実は…」

売上金ですか。ショバ代ですか。いくらお支払いすればいいのですか。弘道さん、たちけてー。

「沼津千本浜トライアスロンにブース出展してください。駅伝の部にも出てください。『チームOn』として」

「へ?」

ぬ、なんだ?むしろ楽しそうではないか。

「はい、楽しんでください。Onの楽しそうな感じを、そのままレースに持ち込んでくれたらいいんです」

こうして「目力の奥山」に迫られた俺は、「チームOnで沼津を盛り上げるように」との密命を帯びた。なお、弘道さんも流れで「チームVENTUMで沼津を盛り上げるように」と命じられたのだった。

チームOn。俺とカズは出ないわけにいかない。さもなくば、目力ビームにやられてしまう。

あと一人はどうしよう。沼津はスプリントディスタンス。それなら、初トライアスロンにはいいかも知れない。

「じゃあ、うちの姫も投入します」

「おっ、いいですね!盛り上がりそうじゃないですか〜」

こうして、沼津千本浜トライアスロン駅伝の部に、「チームOn」が参戦することに決まった。

これは、本人不在のまま巻き添えのような形でトライアスロンデビューが決まった、ひとりの女性の存在を意味していた。

その名は、前原靖子。またの名を、ヤスコ姫

第3話「ヤスコ、ビビる」に続く

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