宮古島挑戦記 2018 – 第8話「親友のような家族」

      2018/05/16

レース前_しげ選手

第7話「山籠り終了、下山して宮古島へ」に戻る

 

宮古島に到着してからは、楽しさで夢のように時間が過ぎていった。

宮古島初日の出来事
宮古島2日目の出来事
宮古島3日目の出来事
宮古島4日目の出来事

MeetOnFriends in Miyakojima

 

そして、瞬く間に第34回宮古島トライアスロン、レース当日。

スッキリと4時起床。トイレでコンセントレーションを高める。そちらの方も問題ない。ほどよい緊張感をトイレで実感する。これはいい傾向だ。

5時半、クラウドモビールでスタート会場に向かう。佐野がBGMで「栄光の架け橋」を流してくれる。初宮古島に挑戦する直前期、走りながらよく聴いていた曲だ。#MeetSanOnFriends in Nagoya で佐野一家とカラオケに行き、一発目に全力で歌った曲でもある。宮古島挑戦に思い入れのある曲を佐野がかけてくれる、というのが意味深く嬉しい。粋な計らいをしてくれるものだ。

会場に着くと、バイクの最終準備やボディマーキングなど、慣れた作業を仲間たちに見守られながら進めていく。こういうときにも仲間がそばにいてくれるのが心強い。

スタート時間が近づいてくる。スタート前の心境が、昨年の宮古島やケアンズのときのそれとは随分違うことに気がつく。今は、少しの緊張感と、それよりもう少し多い高揚感を伴っている。初宮古島のときの心境に近い。

Z3R0Dのウェットスーツを着込み、スイム会場へ向け足を進める。そこで、同じZ3R0Dのウェットを着たしげちゃんと、応援ボードを持ったまどみかを見つける。こういうとき、お互い派手なウェットを着ていると見つけやすくて助かる。

レース前_しげ選手

 

しげちゃんの表情は硬い。昨年の横浜トライアスロンのスイム足切りを思い出しているのかも知れない。「スイムさえクリアできたら…」と前から言っていた。

 

「スイムはあのときよりずっとレベルアップしてる。セントレアもイケたんだから。大丈夫、イケる」

 

「そうだよね、大丈夫…イケる」

 

そのままスイム会場へ足を踏み入れる。足元のバンドがピッと鳴る。ここからはもう戻れない。完走するか、DNFして連れ戻されるかしかない。それが分かっているしげちゃんの表情が引き締まる。

 

「これが一気にスタートするんだ?」

 

驚いた表情を浮かべるしげちゃん。宮古島トライアスロンのスイムは一斉スタートだ。1,500人以上が同時にスタートするのだ。ローリングスタートの大会しか知らない人は、その勢いに面食らうだろう。

 

「1時間以内と1時間以上で分かれるんだね…おれは1時間以上だからあっちの一番後ろで…」

 

「いや、そうしない方がいいかも知れない」

 

確かに、スイムスタートは大きく分けて二手に分かれる。1時間以内でのスイムフィニッシュを目指す人、それ以上かかる人。そして、それぞれがさらに細かく分かれていく。スイムに自信のない人は後方へ。だが、それがときに裏目に出ることがあると知っていた。

 

「しげちゃん、いきなり平泳ぎはしないよね」

 

1時間以上組の後方、しげちゃんにとってそこは危険な場所となり得る。スタート直後から平泳ぎでいく選手がそこそこ多く混ざっているからだ。平泳ぎのキックが顔面に向けて飛んでくるということだ。そんなことをされたら、おそらくしげちゃんはパニックになって終わる。

クロールで3km泳げるなら、そこまで後方にいかなくてもいいと俺は思う。他の選手を巻き込むダメージを与えることはあまり考えられないからだ。だから、「平泳ぎはしないよね」と確認したのだ。

しげちゃんを俺の隣にとどめ、じっとスタートを待つ。すると、対岸の来間島の向こうから虹が出た。期せずして湧き起こる歓声。

スタート前の虹

 

「1分前です!」

 

少しずつ列が前に進んでいく。俺もしげちゃんと少しずつ進む。

 

「しげちゃん、フィニッシュラインで」

 

「うん、フィニッシュラインで」

 

スタートの合図が鳴る。先頭は一気に海に駆け込んでいく。俺たちは歩いて海に入る。腰のあたりまで海に浸かる。

左隣に立つ親友のような家族。よくぞここまで来た。相棒の右肩をパンと叩く。俺の左肩からも小気味良い音が鳴る。その音を合図に頭から海に入る。

そうだ、俺も俺なりにここまで来た。だから、俺なりの第2章へ。俺なりの “Good is not good enough” を見つけに。

 

第9話「俺もマーマン」に続く

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