宮古島挑戦記 2018 – 最終話「預けたメダル」

   

約束の花火

第15話「Good is not good enough. 半分だけ開いた扉」に戻る

 

最善を尽くした後の完走メダルは、殊の外重みを感じた。自分は確かに前に進んだのだと噛みしめる。

宮古島2018_フィニッシュ

 

しかし、まだ仲間たちのレースは続いている。フィニッシュゲート近くで待機していると、ほどなく PI TRI のジョーイズ男が戻ってきた。PI TRIのリーダーであるイズ男と同伴フィニッシュするため、チームメンバー全員でまた走る。アケオユウキ隊長、俺、ジョー、そしてイズ男。PI TRI が一人も欠けることなく、全員完走した瞬間であった。

当初は「外部メンバー」として参加したPI TRI ではあったが、いつの間にか自分の中で「外部」という意識はすっかり薄れていた。

 

「一緒に盛り上げてもらえませんか?」

 

PI TRI と On の仲間たちと集合写真を撮りながら、あのときのイズ男の言葉を思い出す。出場選手もサポートメンバーも、この場にいる全員が一緒に楽しんでいる。

宮古島2018_フィニッシュライン_2

 

共にチャレンジし、その楽しさを共に味わう仲間。それは、Onが目指す「楽しさ」のひとつの形だ。自分の中に、またひとつ大事な場所ができたのだ。だから、フィニッシュラインでの叫びと同じくらい強く、仲間たちと歓喜の雄叫びを上げた。

PI TRI

 

しかし、俺には気がかりなことがまだ残っている。俺がトライアスロンに誘い、その旅を共にしてくれるようになった親友のような家族。

PI TRI との記念撮影を終え、フィニッシュゲート裏に回ると、そこにはしげちゃんがいた。24km地点ですれ違ったときと同じように、笑顔を浮かべている。しかし、そこには様々な感情が含まれていた。

 

「35km関門に間に合わなくてさ…」

 

31km地点の宮古島温泉に残ったみかは彼を見送るとすぐ、陸上競技場まで飛んできていた。だから、俺のフィニッシュにも間に合ってくれたのだ。「どうしてみかがここに?」と思ったのは、彼女のドライビングテクがなせる賜物だったわけだ。

そして、彼女と別れたしげちゃんは、35km地点まで走った。しかし、そこで止められてしまった。2分だけ足りなかったらしい。その後、収容車に乗せられ、陸上競技場に連れてきてもらったということだった。

 

「それが完走メダルなんだね。いいな、欲しかった…」

 

しげちゃんの悔しさが伝わってくる。みかが涙ぐんでいる。この感情と光景は、俺にも覚えがある。2015年の宮古島と洞爺湖の思い出がごちゃ混ぜになって蘇ってくる。

宮古島2018_しげみか

 

俺はさっきもらったばかりの完走メダルを首から外し、しげちゃんに差し出した。

 

「これ」

 

「え?ダメだって、受け取れないよ…」

 

それはそうかも知れない。でも、これはプレゼントとは違う。

 

「またやるだろ?そのときまで預けとく」

 

その直後、宮古島トライアスロンの終わりを告げる20時半の花火が上がった。メダルを受け取ったしげちゃんと夜空を見上げる。

約束の花火

 

「またやろう」

 

「そうだね」

 

こんなことが以前にもあった。花火を見上げ、次の挑戦を誓い合ったことが。

そう、また絶対にやろう。半分だけ開いたように見えた扉を、次こそ開け放ちたい。その旅の道連れは隣にいる。すぐそばにも大事な仲間たちがいる。

だから、第2章を目指して、すぐに練習を再開しよう。再挑戦まで、あと365日。

 

<宮古島挑戦記2018、完>

 

おまけ: マーマンキングによる PI TRI 宮古島2018ダイジェストビデオ

 

※ 長い話でした。読んでいただきありがとうございました。最後に、応援バナーのクリックをお願いします。
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