宮古島挑戦記 2018 – 第14話「フィニッシュラインで」

      2018/06/01

宮古島2018_折り返し地点

第13話「状況判断の遅れ」に戻る

 

21km、折り返し地点直後のエイド。ようやくここまでたどり着いた。折り返した直後のTVカメラに向けて笑顔を浮かべ、そのまますぐエイドに立ち寄る。

宮古島2018_折り返し地点

 

すると、いきなり全身が痺れた。

膝から下の感覚がほとんどない。慌てて何か食べようとして手を伸ばすが、その手の感触も消えている。食べ物を見るだけで吐きそうになってしまう。何が起きたのかは分かるが、どうして、いつの間にそうなってしまったのか分からない。たまらず、道路脇に転がってしまった。

横になった途端、太腿の周辺、肘から先、口の周りまで痺れてきた。2015年の宮古島では、この状態になって30km地点でDNFとなった。2016年のアイアンマン・ケアンズでこの症状が出たときは、20分救急車の中で横になるハメになった。

今回はそんなことは絶対にできない。12時間以内に帰りたいからだ。去年より強くなった自分を見たいからだ。

いつかGoさんに教わったように、スポーツドリンクを一口だけ含み、いきなり飲み下すのではなく口の中を転がすようにする。こうすれば口の中で少しは吸収できる。そして、それだけでも「補給した」と脳が錯覚してくれる。それなら早く錯覚してくれ。

身体全体が熱を持っていたので水をもらい、横になったままバシャッと全身にかける。痺れた脚を叩く。膝の周りを押してみる。飛び上がるほど痛いのに、身体はあまり動かない。

5分ばかりそんなことを繰り返し、少しマシになってきたように感じたので、緩慢に立ち上がって歩き始める。ほどなく走り始めるが、すぐに痺れが戻ってくる。ゾッとして歩きに戻す。折り返してから3km、復路に入ってペースが上がるどころか、むしろ真逆の展開になりつつある。

下を向いて歩くでも走るでもなく進んでいると、ふと前方が気になった。赤いクラウドサーファー。パッと上を見る。そこには笑顔で走るしげちゃんがいた。ただし、その笑顔の奥に隠しきれない疲労の色が見える。

 

「しげちゃん!」

 

「ヒロキ…!少し、しんどい……」

 

横浜トライアスロンのスイムでDNFした彼が、よくぞここまで。確かにしんどいだろう。そこは間に合うかどうかのギリギリの線だ。でも、その感じで走れるなら、まだ諦めていないなら……

 

 

「大丈夫だ、イケる!間に合う!!」

 

「……そうだね!」

 

 

「「フィニッシュラインで!!」」

 

 

同時に同じ言葉を発し、それ以上会話をすることもなく別れる。お互いに分かっている。たとえレベルは違っても、1分1秒を争っている。きっと、勝負している人はみんなそうなのだろう。

だから、俺は陸上競技場へ。しげちゃんは折り返し地点へ。

しげ選手_11km地点
※ 11km地点のしげ選手。ここからよくぞあそこまで…。

 

第15話「Good is not good enough. 半分だけ開いた扉」に続く

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