宮古島挑戦記 2018 – 第1話「制限時間30秒前のフィニッシュ」

      2018/05/08

宮古島2017フィニッシュ

 

2017年4月23日(日) 19時、ラン31km地点。

 

「あと1時間半!」

 

しげちゃんが叫ぶ。残り11kmで1時間半。キロ8分で行けたとして、88分。制限時間2分前。

 

「フィニッシュラインで待ってて!」

 

そう言い残して先を急ぐ。まどかに、みかに、そして、俺がトライアスロンの世界に引き込んだこの男に、フィニッシュした姿を見せたい。

しかし、身体が言うことを聞いてくれない。キロ8分を保つのがギリギリだ。 ほどなく、遠くの空に花火が上がった。19時半。あと1時間。制限時間が俺の背中の真後ろまで迫っているのを感じる。

折り返してからずっと、コーラ以外ほとんど何も補給できていない。手が痺れてきた。腹が信じられないほど冷え切っている。念のため、ストッパを飲む。万が一、トイレに行ったりしたらもう間に合わない。

市街地の灯りが近づいてくる。去年はこの灯りを見て安心できた。今は全く安心できない。すぐ横を走っている選手を応援している人が、必死に叫んでいる。

 

「脚を前に出すんだよ!身体を前に倒すんだよ!前に進め!」

 

あとたった2km弱なのに、前に進んでいる気がしない。ふと手元のTIMEXを見る。20時18分。残り12分。いつの間にか時間に追い抜かされていた。キロ6分でいかないと、陸上競技場のゲートが閉まってしまう。

つんのめるくらい前に身体を倒して無理やり進む。陸上競技場の灯りが近づいてくる。ゲート周辺に人垣ができている。飛び込むように人垣をくぐる。制限時間2分前。

灯りが眩しい。周りを見回す。まどか、みか、しげがいる。

 

「わーーー!!」

 

叫びながら、並走してくれる俺の家族。本当に待たせてしまった。今もまだ手に持ってくれている、その応援ボードがどれだけ力になったことか。

 

「待ってましたよ…!なんだろ、俺が泣ける…」

 

スイムでDNFしてしまったけんいちうじが泣いている。思い切りハグをする。いつか必ず一緒にフィニッシュしよう。

けんいちうじとのフィニッシュ

 

カズトシヤスコマッサもいる。みんな笑ってくれている。アキコはフィニッシュしたはずだ。

 

「もー、待ちましたよー!!魅せるんだからー!!」

 

カズが満面の笑みを浮かべる。ごめんよ、でも全然ワザとじゃないのよ。これでも全力出したんだよ。

仲間たちとのフィニッシュ

 

「ひろきさん、走って!いつもの!」

 

トシが笑いながら叫ぶ。弾かれるように走る。ハセツネ30Kでもこんなことがあった。調教済みか、俺は。思わず笑ってしまう。

最後の直線、トラックの両側によく知る顔が笑って迎えてくれる。スポットライトが眩しくてよく見えないが、みんなとハイタッチする。

フィニッシュライン直前

 

フィニッシュライン10m手前、立ち止まって後ろを振り返る。みんな、一緒にゴールしよう。

フィニッシュラインの手前で一瞬立ち止まり、ゴールテープを見下ろす。それを両手で思い切り突き上げる。言葉にならない何かを叫ぶ。

宮古島2017フィニッシュ

 

制限時間30秒前、20時29分24秒。第33回宮古島トライアスロン、フィニッシュ。

 

このときのホッとした気持ちは、今でも鮮明に思い出すことができる。しかし、その気持ちはこの後すぐに消えて無くなるのだ。

 

第2話「第2章へ」に続く

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