宮古島挑戦記 2016 – 第14話「二度目のストロングマンへ」

      2016/12/07

Bike check-in 2016

第13話「笑いの刺客」に戻る

レース前日、4月16日(土)。

今日はブース運営はない。今日のメインイベントは、バイク預託となる。それが終われば、もうレースを待つのみだ。

今朝はカズさん、ヤスコさんと別行動。彼らは朝スイムへ。昨日からどことなく腹具合が思わしくない俺は、応援に駆けつけてくれたまどかと一緒に来間島へ。視界にトイレをおさめつつ、朝飯をのんびり食おうという作戦だ。

来間島は思い出深い場所だ。2年前は完走翌日にScottさんに引きずられ、リカバリースイムを楽しんだ。レース中には気がつかなかったが、クマノミなども見ることができて、実に楽しいスイムであった。去年は海岸にフラッと現れた黒い子犬「ポチ」に手を噛まれ、そのままレスリングに発展した。

そんな思い出話をまどかにしつつ、海を見ながらおにぎりやうずまきパンを食べ、やどかりと戯れる。

Cloud on the beach

そして、砂浜にOnロゴを描く恒例のやつをやる。身体はやや疲れているが、気持ちは回復してきた。

On logo on the beach

Onロゴを書き終えて満足していると、まどかも何やら砂浜に描いている。「ダンディズム」と読める。これぞハマ(浜)のダンディズム。いい仕事をするじゃないか。

Hama no Dandism

来間島から戻ると、朝スイム帰りのカズさんが布団にくるまって寝ていた。ひたすら回復を狙っているらしい。起こさぬよう、静かにバイクの充電などの準備をしていると、ムクリと起きてきた。しかし動きがどことなくぎこちない。

「どうだ、コンディションは…」

「腰が痛すぎてヘッドアップできません。。。(泣)」

世界の鎌田、あやうし。腰がスベりすぎて、ついにスイム完泳すら危ぶまれるコンディションに。無事に完走できれば御の字か。

Back breaking Kazu

お昼過ぎ、バイクに乗って宮古島東急ホテルに移動する。途中、May Stormのブースでバイクの調子をチェックしてもらう。去年はここでリアディレイラー交換となったのだが、今年は何も問題ない。そのままバイク預託を完了させる。レース番号、“797”…「泣くな」か。いい番号だ。

Bike check-in 2016

バイク預託を終え、宮古島東急ホテルの敷地内を歩いていると、満面の笑みを浮かべてこちらに向かって歩いてくる笑いの刺客を発見。謎の霧吹きを手に持っている。彼の周りだけ、濃い霧で覆われている。まさかこれは、あの伝説のアイテム「はやとのきりふき」…。

「あ、これはですね、こうやって手で持つと重いんですが、こうやって体幹で運ぶようにすると重くないのです!そしてですね、全身に常に吹き付けつつ、たまにこう口の中に吹くのもオススメです!」

実演付きで、はやとのきりふきの使い方を丁寧に、かつダイナミックに教えてくれる刺客。さらに濃い霧が彼を覆う。大きく口を開けてシュッシュしている。

Hayato no kirifuki_1

「ほら、駒田さんもほら!!」

有無を言わさぬ勢いでバンザイ。そしてクルクル。そこに勇人がシュッシュ。なんだこれ。涼しいやんけ。

Hayato no kirifuki_2

笑いの刺客と別れ、濃い霧をまとうようになったハマのダンディズム。宮古島東急ホテルの敷地を出る寸前、とある看板を発見した。

「ダンディズムがダンディー?」

ほう、これは幸先が良いな。俺のためにある看板であるな。

「いいえちがいます。ダンディガータンディです」

真面目か、世界の鎌田。

Dandy ga dandy

バイク預託を済ませ、夕食は皆愛マンションの仲間たちとカーボパーティー。相変わらず、ゆり姉のメシはうまい。しかし、うまさにかまけて食い過ぎると、明日の悲劇は火を見るよりも明らか。意識してセーブする。

部屋に戻り、明日の装備の確認。実際にレース中に起きること、起きそうなことを考えながら準備を進める。カズさん、サトシくんは準備ができたようだ。

Kazu_Satoshi

昨年の今頃は、高熱が出て頭がガンガンし、汗が止まらない最悪のコンディションだった。今は十分リラックスできている。怪我をした腰は少し痛むが、それくらいなんとかなるだろう。準備万端、あとは10時間後のレースを待つだけだ。

Race gear 2016

レース当日、4月17日(日)。3:20、起床。

昨晩、カズさんとサトシくんは早々に眠りに落ち、イビキの二重奏を楽しませてくれた。カズさんは「ガーゴーガーゴー」という往復音、サトシくんは「ババババッ…ババッ」という断続的なエンジン音。眠れないかと思ったが、23時頃には寝ていたようだ。

心配されていた雨だが、起きてみると風の音も雨の音も全く聞こえない。やはり大丈夫だった。そして、今日の行方を占う朝トイレも、これ以上ない万全の仕上がり。大丈夫、イケる。

ゆり姉が作ってくれた朝食をいただいた後、ヤスコさんが運転する車でスタート地点に向かう。東急ホテルで車を降り、バイクの確認を行う。パワージェルが12個入ったボトルと、凌駕を溶かした水を入れたボトルを装着する。

Before race 2016

バイク預託場所は明かりがほとんど届かないのだが、スマホのフラッシュライトなどを活用しつつ、特に問題なく準備は進む。ふと、昨日の預託時には無かったものがトップチューブに貼り付いているのに気づく。手書きのメッセージ付きだ。

「水なし1錠 下痢ストッパ Good Luck “On” You!!」

これは小粋な…!一体誰が。ひとり、大きな心当たりがある。

sutoppa

宮古島東急ホテル内を歩いていると、Onアスリートのまさみさんに出会った。激励もそこそこに、質問をぶつける。

「バイクにストッパ貼ってくれた?」

アイアンマン・ハワイ常連のイケメン・まさみは、実は全身にストッパを仕込むことでも俺に知られている。「正露丸のほかに、ストッパも持っていくといいよ」と、昨晩メッセージでアドバイスをくれたまさみさんは、バイザーの裏とバイクのハンドル周りに仕込みストッパを装備しているらしい。

正露丸使いとしてかつて名を馳せた俺。正露丸には水が必要だということも当然把握している。糖衣Aであればまだしも、正統派の黒い丸薬は、のどごしに難があるからだ。正露丸にのどごしを求める人間はいないのだから、これは仕方がない。一方、ストッパは水が不要。レース中にこれは大きなアドバンテージになる。

「え?ううん、貼ってないよ」

なんだって?ストッパー・まさみでないとしたら、一体誰が…。レースを無事に終えられたら、調査しなければ。

「駒ちゃん、頑張ってね!一緒に完走しよう」

ありがとう、まさみさん。3時間くらい待たせるかも知れないけど、今度こそ一緒に完走しよう。

まさみさんと別れ、宮古島東急ホテルの外に出ると、空が白み始めていた。手にナンバリングしてもらい、アンクルバンドを装着し、ウェットスーツを着込む。Z3R0Dの一騎さんのアドバイス通りに着るよう心がける。洞爺湖で着たときより、心なしかリラックスして着用できた。肩周りの動きがいい。

スイムスタート地点に向かう。チェックポイントを越えれば、もう後戻りはできない。緊張が少しずつ高まる。そんなとき、ヤスコさんが俺とカズさんの写真を撮ってくれた。ここは笑おう。

「さあ行くか!」

気合いを入れ、俺たちはチェックポイントを超える。

Hiroki_Kazu_before race

スイムスタート地点は、スイムフィニッシュ予想タイムに応じて大まかに分かれている。カズさんは「エリート」の後方、俺は「1時間以上」エリアの後方に位置取るため、カズさんとはここでお別れ。笑って握手して、完走を誓い合う。

緊張しながらスタートを待っていると、チームちんすこうの森田さん松本さんと会えた。南部さんたち、ちんすこうのサポートメンバーもいる。彼らと話していると、緊張がほぐれていくのを感じる。仲間がそばにいるのは嬉しい。

そして、今回はまどかもいる。洞爺湖では完走した姿を見せられなかった。今度こそ、フィニッシュラインを越える自分の姿を見せたい。ちんすこうメンバーの側に立っている彼女に手を降ると、彼女は「Go Go Hiroki」と描かれたうちわを笑顔で振ってくれた。ありがとう、絶対に完走する。

Go Go Hiroki

まどかに手を振り、海に向き直ると、前方から号砲が聞こえた。

7:00、第32回全日本トライアスロン宮古島大会、スタート。二度目のストロングマンへ。

第15話「#お前のハートにバキューン」に続く

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