宮古島挑戦記 2014 – 第6話「宮古島当選、それなのに…」

      2016/05/18

Christmas Present

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「厳正なる選考の結果、貴殿は出場内定となりました。おめでとうございます」

12月24日の朝、宮古島トライアスロン実行委員会から、最高のプレゼントが届いた。テンションが上がりすぎて、Facebook上で絶叫。

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・2013年12月24日 Facebook

よっしゃあー!!行くぞ、宮古島!!

Christmas Present
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翌日、新聞に出場者1,700名の名前が掲載された。

Starting list

Found my name

知っている人の名前がたくさんある。その中の一人に、俺の名前もある…。興奮と緊張で鳥肌が立った。

出場内定通知から3日後、仕事納め。年末年始休暇がスタート。モチベーションは上がりきっている。この休暇はしっかり練習しよう。

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・2013年12月28日 Facebook

連休初日。朝飯前の20kmラン。

どうも俺は15km過ぎたあたりでガス欠になってしまうらしい。最後は歩いてしまった。距離20km、平均6’35 min/km、1676kcal消費。

・2013年12月29日 Facebook

朝(昼)飯前に6km。

昨日の20kmが効いているのか、身体がやや重い。ラーメン食ってないのに身体が重くてたまるか。距離6km、平均5’46 min/km、482kcal消費。朝稽古の後は、野菜たっぷりちゃんこ。
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相変わらず大してレベルアップが見られないものの、順調な滑り出し。

12月30日は、GRADFIVEの岩佐さんに誘って頂き、「Sweetrail in 葉山」に参加。葉山のトレイルを走り、私設エイドにTeam LINEAの川原さんが作るスイーツと飲み物が用意されているという企画。キツいトレイルと甘いもの、最高の組み合わせだ。

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・2013年12月30日 Facebook

Sweetrail in 葉山。

最高の天気。富士山がよく見える。アップダウンがキツい1周5.5kmのコースを只今2周。「これは筋トレなんだ」と自分に言い聞かせつつゼーゼーしながら登り、「俺は Ben Allen なんだ」と勘違い甚だしく駆け下りる。

エイドはうまいドーナツやお手製ジンジャーエール、名前は分からなくてもうまいものが他にもたくさん。このエイドを離れたくない…(笑)

スクリーンショット 2016-05-17 17.49.55
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トレイルを駆けずり回ってボロボロになった後は、逗子の銭湯へ。仲間と一緒に浸かる湯は温かい。身も心もじんわり温まり、忘年会の会場に向かった。忘年会でも、川原さんのうまい料理が振る舞われた。自家製の窯で焼かれたピザまで出てきて、非常に酒が進む。

宴もたけなわ、トライアスリートだらけの忘年会。うまいメシと酒と笑い。大盛り上がりに盛り上がり、気が付けば俺は勝負にのぞんでいた。

大道塾空手出身、「漢は三分刈り」と言い切る、その風貌とトレードマークのサングラスで巨大な圧力を与えてくる「アニキ」こと星野さん。自分のバイクに「otokomae」とプリントする自信に溢れた漢。

やはり空手家であり推定身長185cmオーバー、赤い衣服を身にまとい、赤いバイクを駆る、あだ名もそのまま「レッド」こと藤田さん

そして、「鍛えよカラダ、磨けよココロ」を掲げる心優しき男、SILVERBACKSの「ボス」こと前島さん

いずれ劣らぬ猛者が揃った。彼らと腕一本、テーブル上で武を競い合う。武人の喜び、これに勝るものはない (= ただの腕相撲)。

「生まれてこの方、我の右腕、地に付けた者無し」 ラオウと見紛うばかりの威を放つアニキは特に要注意。圧倒的な体格を誇る藤田さんも、見るからに強い。前島さんだけは半笑いで尻込みしている。勝てる。

第一戦、レッド藤田と勝負。

Arm wrestling_1

掌が大きい。握力が強い。あれ?俺より強くない?

「レディー…ゴーッ!」

持ちこたえられたのは数秒、アッサリ負けた。そんなまさか…。

信じられない気持ちのまま、第二戦。前世はラオウのアニキと勝負。

正に瞬殺。右腕を天高く突き上げるラオウ。身体の向きと逆方向に倒れた俺の右腕。捩じ切られたかと思った。強すぎる。バケモノか…。

「左!まだ左腕が残ってますよ!!」

悪あがきと言われようと構わない。実は俺は左利きなのだ。そうなのだ。

右腕を天に突き上げたままのアニキに挑みかかる。アニキは笑っている。目にモノ見せてくれる。

Arm wrestling_2

乾坤一擲。全てを賭けた俺の左腕は、見事アニキをなぎ倒した。俺、絶叫。やや引いている周囲。

「俺、右腕に命かけてるんで」

「俺、左利きなんで」

意地を張り合いつつ、楽しい酒を酌み交わす。こうして楽しい忘年会は終わり、俺の2013年は暮れていったのだった。

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・2013年12月31日 Facebook

2013年、大変お世話になりました。

ランニングシューズのマーケティングという仕事、トライアスロンへの挑戦、新しいことずくめの1年でした。応援し、支えて下さる皆様に感謝です。

2014年はOn日本上陸2年目、大事な年になります。引き続き、応援よろしくお願い致します。

Bye 2013
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年が暮れたと思ったら新年がすかさず駆け寄り、慌ただしく2014年がはじまった。

そんな新年早々1月8日、小さな事件が起こった。

通勤中の朝8:50、品川駅で電車を降り、乗り換えのためにホームの階段を昇っていたときのこと。階段の中ほどで背後に妙な気配とざわめきを感じ、後ろを振り返った。

ドンッ!!

振り返るやいなや、俺の身体を突き飛ばすように、男がすごい勢いで階段を駆け昇って行った。なんなんだ、一体…。

「捕まえて下さい!痴漢です!!」

階下から、駅員と女性の叫び声が聞こえた。今のがそうなのか?上を向くと、男は階段を昇り切ったあたり。周りの誰も反応していない。すかさず走る。

階段を上がると、男は改札方向に逃げていくのが見えた。ダッシュしてすぐに追いつく。

男の背中に右手をかけると、彼は急に方向転換をして、なおも逃げようとする。男の進行方向を塞ぐように、左脚で下段回し蹴り。足払いのような形になり、男は宙を飛んで転がる。転がりながらも、男は上を向いて抵抗する素振りを見せたので、蹴った左脚をそのまま男の横に大きく踏み込み、右正拳を構えた。暴れたら躊躇なく打つ。

そこで初めて男と目が合った。50歳前後、165cmくらい、黒いジャンパー姿。泣きそうな顔をしている。戦意喪失したようなので、目は離さずに構えを解く。

駅員が3人ほど走ってきた。彼らに男を引き渡した途端、踏み込んだ左足がズキズキと酷く痛む。革靴で走り回った挙句、思い切り踏み込んでしまったからか。乗り換えのホームに向かって歩こうとするが、まともに歩けない。まずい、どうしよう。通勤にもOn履けたらよかったのに…。

すると、最初の駅員が、泣いている被害者の女性を連れてこちらに向かってきた。実は泣きそうなのは俺なのだが、努めて冷静を装う。

「ご協力ありがとうございました!」

「いえ…もう行ってもいいですか?(ズキズキ)」

「警察が事情を知りたいときのために、一応お名刺頂戴できますか?」

「はい、ではこれで… (ズキズキズキ)」

名刺を渡しながら考えていたのは、宮古島のこと。せっかく当選したのに、まさか出られないのか?

足を引きずりながら出社し、上司に報告した上ですぐに整形外科へ。靴を脱いでみると、見事に腫れ上がっている。医者が怪我の状況を聞いてくる。

「いつ怪我されたんですか?どこで、どんな風に?」

「今朝、品川駅で。ちょっと人と接触しまして…」

「接触ってどんな風にですか?こんなになるくらいぶつかったんですか?」

「ぶつかったというか、ぶつけたというか…」

「え?自分からぶつけたんですか!?」

非常に説明しにくい。モゴモゴしながら説明を試みるが、我ながらどうにも要領を得ない。医者は、まるで俺が加害者であるかのような目つきで見てくる。仕方なく、詳しく説明をする。

「ほほう…左回し蹴りですか…!足のどこに当てたんですか?こう?こうですか?それで、相手はどうなりました!?」

なんだか楽しそうな医者。相手がどうなったか、それは診断と関係ないんじゃ…。

レントゲンとエコーで見てもらったところ、靭帯が少し切れているだけで、幸いにして骨は折れていなかった。診断結果は、全治3週間。宮古島には間に合うが…。

「しばらく回し蹴りしちゃダメですよ~(笑)」

医者の笑えない冗談を背に受け、ズルズルと会社に戻っていく。

せっかく年末年始頑張ったのに…。意味ないじゃんか…。何やってんだ、俺…。

宮古島まで、回し蹴りと踏み付けは固く封印することを誓ったのだった。

第7話「号砲2週間前、最大のピンチ」に続く

 - 宮古島トライアスロン2014