ランニングを始めた理由。続けた理由。

      2017/01/24

最初のクラウドサーファー

前回「パンイチ空手の真実」に戻る

 

鎌倉の一人暮らしを始めて3ヶ月ほどした頃、俺はOnと出会った。出会ったというより、出会わされた…という方が正確かも知れない。

Cloudracer13

 

ブランドの概要を聞き、クラウドレーサーという名前の美しいシューズを見たことで、「マーケティングをしっかりやれれば売れる」と考えた。

しかし、何が嫌いといって、俺はあらゆるスポーツで走ることが最も嫌いなのだ。空手を始めたのだって、板の間の道場にいれば、走らされることはないだろうと思ったからだ。

しかし、空手をやっているということで、上司は俺が運動なら何でも好きなのだと勘違いしたようだ。ハッキリしない態度の俺に対し、彼はこう言い放った。

 

「スイス本社で決まった話だ。是非やってもらいたい。

 

断る選択肢はないと思って欲しい。

 

Onをやるか、会社を辞めるか…」

 

なんだ、それならほとんど強制ではないか。選択肢はないのか。

つくづく「何をしたいか」よりも、「何をすべきか」が優先されているようだ。思わず苦笑してしまう。会社員である以上、それはやむを得ないのかも知れない。結局、俺はOnのマーケティングの仕事を引き受けることになった。

 

(さて、困ったことになった…走れってことだよな)

 

ランニングシューズの仕事に関わるのであれば、走らないわけにはいかない。とりあえず、その日のうちにOnを履いて外に出た。30分程度走っただけでえらい息が切れる。

 

(これって本当に楽しくなるのか…)

 

汗だくで戻ってきた俺は、とりあえずシャワーを浴びてすぐに眠ってしまった。

それから数ヶ月間、とりあえず俺は走ることを習慣づけようと努めた。とは言っても、週に2回程度のことだ。最初は30分走るだけでも精一杯だったのが、徐々に長いこと動けるようになってきた。

しかし、走りに行くコースには参った。近所の公園、少し足を伸ばせば由比ヶ浜や七里ヶ浜。それに江ノ島。どこも娘と一緒に遊んだ場所なのだ。その横を通り過ぎる時、胸をチクリと刺されるような痛みがあった。

ただ、いいこともあった。走り終わってシャワーを浴びてから飲むビールがとてもうまいことに気がついたのだ。「俺は晩酌がしてぇんだよ!」と叫んでいたコバさんの顔が思い浮かぶ。それからというもの、ビールを飲む前には走ることに決めた。

 

ところで、妻と別居して数ヶ月になっていたが、離婚は成立していなかった。実家に戻った妻から離婚届が届くはずが、家庭裁判所から呼び出し状が届いたからだ。

裁判所から封筒が届くというのは、なかなかの強烈な体験だった。まるで自分が犯罪を犯してしまったような気持ちにさせられる。心拍数が急に上がり、顔が火照り、「どうしよう、どうしよう」と無意味に焦って変な汗が出てくる。

そういうとき、俺はOnを履いて外に出るようにした。パンイチ空手のときに少し気がついていたのだが、汗を流してヘトヘトになると、ネガティブなことも一緒に流れ出るらしい。

娘のことを思い出して辛い気持ちになったとき、家裁から封筒をもらったとき、あるいは「いつ結果を出すんだ!」とつついてくる会社にうんざりしたとき、俺は走った。走り終えると、何も考えずに寝た。

最初のクラウドサーファー

 

今から思えば、かなりネガティブな理由で走っていたような気がする。

ただ、そうした中で新しい目標も見つかった。宮古島トライアスロンの完走。宮古島で出会った人たちと約束をしたのだ。勢い余ってしまったとはいえ、約束は約束。それを目指してまた走るようにした。

Fireworks

 

このあたりで気がつき始めた。「何をすべきか」だけを考えていたら、宮古島トライアスロンに出るなどと約束するはずがない。

 

「おまえは何がしたいんだよ」

 

コバさんの顔がまた思い浮かんだ。何か見つかりかけている気がする。

 

次回「心を決めたら見えたもの」に続く

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