海の男の話 – 最終話「元気復活、次の旅へ」

      2016/10/08

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第5話「ポセイドン降臨」に戻る

モリ漁で夕飯のおかずを調達することに成功した俺は、ポセイドンらしからぬ一抹の不安を覚えていた。

あのフグは食えるのか?
本当に毒はないのだろうか?
おおポセイドン しんでしまうとはなさけない。

モリで仕留めたあのフグは、ものしりな人たちによれば、「ハリセンボン」らしい。そういえば、膨らんだときのあいつは、全身から針をむき出しにしていた。そして、ハリセンボンには毒はないという。しかし、万が一ということもある。俺はハラハラしながら夕食を待っていた。

ところで、天気予報によれば台風がグングン近づいてきているようだ。台風が新島を直撃した場合、いつ戻れるか分からない。台風が立ち去るまでお盆休みをひたすら延長するのも悪くはないが、ヤスコ姫「ちょっとー!男子ー!!」というお叱りはこわい。なので、少し残念だが、明日の朝早くの大型船で本土に引き上げることに決定した。

というわけで、今目の前に並んでいる食事は、新島最後の夕食ということになる。仲間と囲む食卓は実に楽しい。

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遠藤さんがモリで獲ったカワハギは、肝醤油につけて食べると絶品。カズも喜んで食べている。

「カワハギおいしいですね!あ、駒田さん、フグも……

「あーカワハギうめえ!」

「フグ。。。」「肝醤油うめえ (棒」

なるべくフグの話題に触れないように努めたのだが、自分の獲物は自分で食べる責任がある。そうと知ってはいても、本当に大丈夫なのだろうかという不安が拭えない。目の前に置かれた皿には、いかにも新鮮そうな魚肉が鎮座している。ビビりまくっている俺を見て、速メガネ「ひゃっひゃっひゃっ」と笑う。お前も食え。

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「……よしこうしよう。せーので一緒に食べよう」

「え!?こわい。。。」

「そこは大丈夫です、イケますだろw」

心を決め、カズと同時に口に入れる。

「あれ?イケますよこれ!」

新鮮なハリセンボンは、臭みもなくねっとりとした食感でうまかった。何より、責任をもって食べることができてよかった。

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夕食後、俺とまどかはもう一つ行かねばならない場所に向かった。かき氷好きでも有名な遠藤さんオススメの、あんこ親爺の店である。

なんで「あんこ」なのだろうと思いながらお店に行ってみると、山盛りのあんこと練乳をかけたボリューム満点のかき氷が飛ぶように売れている。そういうことか。

本来であれば、あんこ乗せかき氷を注文すべきなのだろうが、カワハギと若干スリリングなハリセンボンで胸一杯腹一杯になっていた俺は、通常タイプのかき氷をオーダーした。ぎっしり氷が詰まっており、これでもボリュームたっぷりだ。

こうして魚とかき氷を堪能した俺たちは、早めに床についたのだった。

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翌朝、俺たちは3日間お世話になった Common House Niijima Row とナカムラさんにしばしの別れを告げ、7:30出港の大型船・さるびあ丸に乗り込んだ。行きのジェット船では2時間半だったのだが、大型船では10時間半の長旅となるようだ。

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急遽本土に帰ろうと考える人はたくさんいたようで、座席は既に売り切れていた。そういう場合、甲板やデッキに座り込むしかないらしい。初めての経験、これもまた楽しい。ただ、10時間後に同じことが言えるかどうかは分からない。

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さるびあ丸は、途中いくつかの島で停泊し、その都度引き揚げ希望者を乗せていった。最初俺たちが乗ったときは隙間のあった甲板やデッキも、ぎゅうぎゅう詰めになっていく。一気に引き揚げ船の雰囲気が増してくる。

無料で貸してくれる毛布をどっさり借り、床に敷き詰めて布団代わりにする。これは意外と寝心地がいい。すぐそばを人がガンガン通り、ときたま蹴られるのには参ったが、ここは引き揚げ船。やむを得ない。

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昼飯は、事前に港で仕入れておいたカップラーメン。さるびあ丸には給湯室があり、そこでお湯を分けてもらえる。船内はカップラーメンをすする音に満ちている。いいぞ、非日常感たっぷりだ。

甲板で海を眺めながらカップラーメンを食べ、少し休みたいときは毛布の上で手足を伸ばして眠る。チューリッヒ出張で使うスイスエアの12時間飛行機旅に比べれば、はるかに快適で疲れもたまらない。

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昼寝から目覚めて甲板に出ると、意外なほど美しい東京湾の景色が目に入った。潮風に吹かれていると、体調もどんどん回復してゆく。海に入って回復し、潮風に吹かれて回復する。体調不良で新島に来たのだが、気がつけば元気復活。さすが海の男、さすがポセイドンということにしておこう。

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楽しく短かった新島の旅はこれで終わり。新島にはまたいつか是非来てみたい。新島トライアスロン、俄然興味が湧いてきた。次の旅の候補地に入れておこう。

こうして旅の候補地がどんどん増えていく。全て回り切れるのはいつのことだろう。

<海の男の話、完>

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