On、日本デビューの頃のお話。

      2016/09/01

Tokyo Marathon Expo 2013

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2013年2月、東京マラソンEXPOで、On日本上陸の発表を行った。とは言っても、1小間の小さなブースだ。

Tokyo Marathon Expo 2013

東京マラソンEXPOの来場者は、3日間で約10万人。その10万人の中で、Onを知っていた人はほぼゼロだった。Onを知っていたのは、前年10月のアイアンマン・ハワイのブースでOnを見たという人だけだった。

もの珍しさからブースに立ち寄ってくれた人も僅かながらいたのだが、大抵の人は懐疑的だった。「こんなシューズで走れるの?」と何度言われたことだろう。売れた数は、3日間で10足あまり。3日間、ひたすらチラシを配って終わった。

「うーむ、おかしいな…」というのがEXPO後の感想だった。Onをはじめて見たときの「これはイケる!」という直感は外れていたのだろうか。

それから半年後、オリヴィエが来日した。目的は、アイアンマン・ジャパン北海道のブース出展。

Olivier_Hokkaido 2013

そのときにオリヴィエが履いていたシューズは、見慣れないものだった。クラウドレーサーともクラウドサーファーとも違う。持たせてもらったら、異常に軽い

「これ、クラウドレーサーより軽いんじゃない!?」

「うん、なんでか分かる?」

「……ミッドソールがない。CloudTec®しかない」

Onの特許技術「CloudTec®」は、アウトソールのチューブ状の構造によって、クッション性と反発性を両立する技術だ。そうであるならば、究極的にはミッドソールは無くてもいいのではないか。それがオリヴィエの着想だった。その結果生み出されたのが、このシューズ「クラウド」だった。

Cloud Navy White

クラウドは、アッパーとCloudTec®が直結した構造を備え、しかもCloudTec®の素材として「EVA」という超軽量素材を使用していた。その結果、200gを切る軽さを実現した上、 クラウドサーファーに近いレベルのクッション性を両立した。

しかも普段履きとしても使えそうなデザイン。普段履きからレースまで、どんな用途にも使えるランニングシューズ。家を出て、そのままレースに出て、また履いて帰ってこられる。「これはイケる!」とまた思った俺は、取引先にクラウドを紹介して回った。

「これ、スニーカー?」「いいえ、ランニングシューズです」

「これ、キロ何分のシューズ?」「どんなペースでもいけます」

「え?ランシューなの?スニーカーなの?」「どんな用途でも使えます」

結果は惨敗。

「どんなペースでも、どんなシーンでも履ける万能シューズ」というのは、一般的なお店の「キロ4分」「キロ5分」「キロ6分」という棚割りにハマらなかったらしく、クラウドの注文はほとんど集まらなかった。

「うーむ、おかしいな…こういうの絶対みんな欲しがると思うんだけどな…」と思った俺は、少し自信を無くしかけていた。

それでも、俺はオリヴィエの言っていた、「Onはあまり『こうあるべき』という枠にはめたくないんだ」という言葉を大事にした。そうすればするほど、お店からの注文は集まらなかったのだが。

2014年2月、2回目の東京マラソンEXPO。クラウドレーサーを中心に、1年前の7倍近く売れ、正直戸惑った。元々、「これはイケる!」と思って始めた仕事だったのに、お店からの酷評でやはり少し自信を無くしていたのだと思う。

Tokyo Marathon Expo 2014

それから数ヶ月経ち、ちょっとした異変が起こり始めた。クラウドが急に売れ始め、欠品を起こし始めたのだ。

「駒田さん、クラウド欠品しちゃってるよ!次いつ入荷するの?」

内心、「オーダーしてくれなかったから欠品してるんだけどな」と思いつつ、それでも嬉しかった。それから、あれよあれよという間にクラウドの人気は高まり、2015年2月、驚きのニュースが飛び込んできた。

国際的なスポーツ展示会「ISPO Munich」で、クラウドがパフォーマンスランニングシューズ部門、金賞受賞。クラウドが「世界最高のランニングシューズ」と認められたという意味になる。受賞理由は、「世界最軽量のクッショニングシューズ」「パフォーマンスとファッションの融合」だったようだ。

ISPOのニュースの直後に開催された東京マラソンEXPO 2015、Onは2014年の倍以上売れた。2013年と比較すると、15倍だ。「これはイケる!」と思ってから丸2年、Onジャパン設立直前のイベントで「やっぱりきっとイケる」と確信したのだった。

Tokyo Marathon Expo 2015_2
ISPO Gold Winner 2015

つい先日、東京マラソンEXPO 2017の出展を申し込んだ。今までで最大規模となる。Onを好きになってくれた人たちに、もっと喜んでもらえるようなブースにしたいと思う。

次回「セントレアでの出会い」に続く

※ 「最初からクラウドはいいと思ってたよ!」という方、ありがとうございます。途中、自信を無くしかけて面目無いです。下の応援バナーのクリックをお願いします。
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