思い出のクラウドサーファー。これからも、雲の上の走りを。

      2018/11/16

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前回「On クラウドサーファー、第4世代発売。オリヴィエ・ベルンハルドの魂の結晶」に戻る

 

On共同創業者オリヴィエ・ベルンハルドがクラウドサーファーを開発し、感動の鳥肌を立ててから約3年後。俺は困り果てていた。

 

運命の社命。

 

2012年12月。

 

「駒田君、ちょっといいかな」

 

当時、俺はスイス系商社に勤めていた。カジュアルウォッチや高級時計を輸入販売する部署に所属し、俺は主にTIMEXというブランドを担当していた。

その部署のトップに呼び出されたのは、年も押し迫ったある日のことだった。呼び出されたのは俺だけでなく、当時のTIMEXチームリーダーもだった。

その会社には、ヒエラルキーが明確に存在した。俺を呼び出したその人は、ヒエラルキーで言えば俺の3つ上にあたる。直接話すことなどない。

何か問題でも起こしてしまったのかな、それとも何かややこしいことでも命じられるのかな、と思った。「ちょっといいかな」が、ちょっとした案件だったためしがない。

予感は当たった。上司の用件は後者であった。

 

「スイスのランニングシューズの輸入をはじめることになった」

 

Onってなんなんだ。

 

30分後、俺は半ば呆然としてデスクに戻った。

正直、困り果てていた。デスクの上には、黒と緑のカラーリングのシューズが置いてある。

Small JPEG-PR Assets Cloudsurfer (First model) Side Shot

身体が弱かった子供の頃から、最も苦手で嫌いだったランニング。よりによって、それを仕事にしなければならないらしい。その仕事を受けるか、社命が気に食わないなら会社を去るか、そういう二択を迫られてしまったのだ。

3年前に生まれたばかりの新しいブランド。名前はなんと言ったか……。

 

Onだ」

「え?」

オ・ン、だ」

 

 

聞き取りづれーよ!なんなんだ、オンって!

 

 

心の中でボヤきながら、まずOnとやらのウェブサイトを開くことにした。

 

……あれ?

 

オリヴィエ・ベルンハルドとの出会い。

 

懐疑的な気持ちから読み始めたウェブサイトの内容に、俺は徐々に引き込まれていった。

まず、理屈抜きにカッコいいと思った。次いで、このブランドの技術的革新性に興味を持った。そして、読み進めていくうち、ブランドの底に流れている想いに心を打たれた。

Co-founders

 

Onの3人の創業者の起点になった人物、オリヴィエ・ベルンハルド。アイアンマンのヨーロッパチャンピオンにして、デュアスロン世界チャンピオン。

世界のトップで走ってきた人が、「楽しく走りたい」という想いで作った最初の1足が、いま俺の隣にある黒と緑のシューズ。

クラウドサーファー。Run on clouds. 雲の上を走るようなシューズ。

 

はじめての雲の上の走り。

 

2013年1月5日。

俺は覚悟を決めた。今日は長い距離を走ってみよう。

クラウドサーファーを履き外に出る。どうせなら、楽しいコースがいい。俺はまず、北鎌倉へ向かった。

思えば、鎌倉市に住んでいても、あまり近所を見て回ることはなかった。厳しい予算と長い通勤時間に疲れ、家に帰っても心が休まることはなかったからだ。子供と遊ぶことは楽しかったが、俺自身がどう生きていったらいいのか、まるで方向性は見えてこなかった。

 

「おまえは何がしたいんだ」

 

迷いが頂点に達した頃、先輩にそう問われても即答できなかった。今もまだ迷いは抜けていない。ただ、そういうとき、身体を動かすことは助けになる。空手を続けてきたことで、それだけは知っていた。

北鎌倉駅の前を通り過ぎ、建長寺を横に眺めつつ坂を登る。息は切れるが坂は続く。大きな坂を登りきり、トンネルを抜け、急な坂を下る。この急坂を下りきったら、鶴岡八幡宮だ。

重力に任せてドカドカ坂を下っている最中に気がついた。着地の感覚が柔らかい。ウェブサイトで、「雲の上の走るような感覚」とオリヴィエ・ベルンハルドが語っているのを読んだが、これがもしかして。

鶴岡八幡宮の目の前を曲がり、由比ヶ浜へ。なんだか楽しくなってきた。走ることが楽しいと感じたことなんて、今まで一度もなかったというのに。

由比ヶ浜、稲村ヶ崎、七里ヶ浜。ずっと先には富士山が見える。左手には娘と一緒に遊んだ浜辺。はるか昔のような気がするが、つい半年くらい前でしかない。

Change myself

チクリと胸を刺すような痛みを振り払うように、スピードを上げてみる。でも、すぐに息が切れてしまう。汗が噴き出す。苦しいが、この苦しさは悪くない。あのときよりずっといい。

こうしてその日、俺はクラウドサーファーで19kmを2時間20分ほどかけて走った。シャワーを浴びてから飲むビールがやたらうまかった。その日は、久しぶりにぐっすり眠ることができた。

20130105

 

 思い出のクラウドサーファー。

 

それから、クラウドサーファーと一緒に、色々な思い出を作った。

走り始めてから1年3ヶ月後、はじめて宮古島トライアスロンを完走したときの相棒は、二代目のクラウドサーファーだった。

Strongman finishline_3

 

悔しいDNFを挟んで、妻の前で宮古島を完走して見せられたときは、三代目クラウドサーファーが足元にあった。

お前のハートにバキューン

 

はじめてアイアンマンを完走したときにも、クラウドサーファーが共にあった。それは、オリヴィエとの小さな約束を果たしたときでもあった。

Ironman Cairns Finish_3

 

 

これからも、雲の上の走りを。

 

思えば、節目節目で俺はクラウドサーファーと走っていた。オリヴィエの想いが込められた1足と旅をしてきた。

今、手元には4代目となるクラウドサーファーがある。無骨さを残していたかつてのクラウドサーファーと並べると、比較にならないほど洗練されている。しかし、そこに込められた想いは変わらない。

 

Put fun into the run.

ランニングを楽しく。

 

痛みなく、楽しく、長くランニングを楽しみたい。それができたらどんなに幸せだろう。そう願ったオリヴィエの想いと、それに共感してくれた世界中のランナーたちが作り上げた1足。比喩ではない。世界中のOnを好きなランナーたちの声を聞き、試し、失敗し、洗練させ、想いを込め、磨き上げてきたのだ。

それが、俺の大好きなクラウドサーファーだ。これからも、雲の上の走りを。

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次回「On クラウドフロー、SS19 新色登場」に続く

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