レジェンド・稲田さん、Onジャパンご来社。

      2016/12/10

inada-san-and-on

前回「ブルトレMVP、アッサリ陥落」に戻る

トライアスロンをやる人間であれば、きっと知らない人はいない。

稲田弘 (いなだ ひろむ)さん。現在、84歳。今年10月のアイアンマン・ワールドチャンピオンシップで見事完走し、80-84歳のエイジグループで世界チャンピオンになった、まさにレジェンドである。

その稲田さんは、実はうちのアキコと仲が良い。ハワイで戦う稲田さんを応援するため、アキコは有給休暇を取り、プライベートでハワイ島に行ったほどだ。

逆に、アキコが横浜トライアスロンに出場したときは、稲田さんは会場まで応援に来てくれていた。そして、アキコからクラウドを買ってくれたのだった。

 

inada-san_yokohama-triathlon

 

「ひろきさん、明後日は事務所いらっしゃいますか?稲田さんがシューズを見に来たいそうです」

 

2日前、アキコからそうLINEが入った瞬間、のんびりスタバでサボっていた俺は、あやうくホットベイクドアップルをこぼしそうになった。横浜トライアスロンでお会いしてから7ヶ月、またお会いできるとは想像もしていなかったからだ。

そして今日、稲田さんがOnジャパンにご来社。稲田さんを奥のソファーにお通しするとほぼ同時に、玄関のドアがバーンと開いた。あれ、ナオ?どしたの?

 

「きゃー!稲田さん!!」

 

「おおっ、ナオミさん!!」

 

抱き合って喜ぶ二人。「夢じゃないだろうか」と目をキラキラさせる稲田さん。

 

super-happy

 

アキコが「稲田さんがオフィスに来ます」と事前に連絡していたらしく、ナオはタイミングを見計らって来てくれたのだった。稲田さんは前々からナオのファンで、ナオは前々から稲田さんの大ファンなのだという。

ちなみに、稲田さんは「ナオなんてとんでもない!ナオミ様ですよ」と言っていた。申し訳ありません、ナオミ様。

 

inada-san-and-nao

 

稲田さんとナオがひとしきり喜んだ頃、またもやドアが開いた。今日はにぎやかだな。彼を稲田さんに紹介する。

 

「おー、思い出した!ユニークな子がいるなあと思ってたんだよ、長い髭の(笑)

よーく見たら日本人でしょ、だから覚えていたんだよ。

こんな子いないから目立つよね、仙人みたいで」

 

さすが最速不動産王、またの名を仙人。「仙人」は稲田さんにも認知されていた。

それにしてもなんです、その常夏の雰囲気。いま12月よ。

 

inada-san-and-endo

 

横浜トライアスロン以降、稲田さんは練習にクラウドを使ってくれている。今日は、クラウド以外のコレクションも試しに来てくれたのだ。

まず、クラウドフローを履いてもらう。稲田さんは24.0cmなので、ウィメンズの「スパイス/フラッシュ」を提案してみる。

 

cloudflow-spice-flash

 

早速履いて歩き回る稲田さん。「これはいい……アッパーのところが包み込んでくれるみたいだね」と高評価。

 

「それに、色もいいね。僕のチームジャージと同じ色だしね」

「あっ、稲田さん♪ それナオのとお揃いですよ!」

「む、それならこれにしないといけないね……!( ̄ー ̄)」

 

レジェンド……なんかかわいいっすね……。

 

「ナオモデル」のお買い上げは決定事項となった稲田さんは、続いてクラウドフライヤーを試す。

今まで稲田さんが履いてきたランニングシューズを見る限り、履き替えたときに一番違和感がないと思われるのが、このクラウドフライヤーだ。強いクッション性と安定性、それでいて300gを切る軽量性が特徴だ。

 

cloudflyer-grey-jade

 

履いた瞬間、稲田さんの目がキラリと光る。自分に合うシューズに足を入れたとき、人はこういう目をする。

 

「う〜ん、これもいい…。ロングに特に良さそうだね。

これはまずいなぁ〜!両方いいな…」

 

何度かクラウドフローとクラウドフライヤーを履き替え、稲田さんは迷っているようだった。クラウドフローはアッパーのフィット感が気に入り、クラウドフライヤーはソールの安定感が好きなようだった。

「よし、2つ買おうか」と意を決してくれた稲田さんに、アキコが「稲田さん、トレランシューズもあるんですよ」と持ちかける。

 

cloudventure-grey-lava

 

「トレラン用もあるの!?」

 

稲田さんは元々山岳部出身。「トレイルラン」という言葉が日本で広まる前から、山を走っていた。現在もクロスカントリーコースでトレーニングしているということを、どこかの記事で読んだことがある。クラウドベンチャーも是非履いてもらいたかった一足だ。

 

「これもいい……う〜ん、これも買います」

 

こうして、稲田さんはクラウドフロー、クラウドフライヤー、クラウドベンチャーの3足を入手することになったのだった。アキコ、なかなかの勧め上手だな。

 

inada-san-and-akiko

 

シューズを選んでいただいた後、俺たちは稲田さんのお話を聞かせてもらった。

話題は自然と今年のコナ完走、そして去年の「制限時間5秒オーバー」に及ぶ。去年、この写真は世界中に拡散されたから、見た人はきっと多いだろう。

 

hiromu-inada-kona-2015

 

「去年、僕の中では、花道を真っ直ぐ駆け抜けた…って感覚だったんですよ」

「あとで写真を見て驚かれた、と聞きました」

「そう、自分の思っていた姿と全く違った。『これは誰だ?』と思いましたからね。それでも、自分は間に合ったと思っていました。それなのに、翌日のアワードパーティーでは、仲間の雰囲気がどこか不思議だったんです」

 

アワードパーティーで表彰台にのぼるつもりでいたら、係りの女の人がジェスチャーで『ちがうのよ』とやってきたそうだ。

 

「そこではじめて、制限時間に5秒足りなかったことを知ったんです」

「そこではじめて……アキコさん、レース後に教えてあげていなかったの?」

 

少し苦しそうな表情を浮かべるアキコ。

 

「フィニッシュラインで “You are an IRONMAN!”ってコールもあったし、もしかしたら間に合ったのかもしれない…って思っていたこともあって、ハッキリ伝えられなかったんです」

 

なるほど、それは確かに難しいだろう。

 

「本当に悔しかったですね…。皆さんは『すごかった』『感動した』って言ってくれるんだけど、僕の中ではただ恥ずかしくて、情けなくて、悔しかった」

 

俺と遠藤さんは、驚きのあまり目を見開いた。アイアンマンの距離を泳ぎ、漕ぎ、走りきれる80歳が世界にどれだけいるのだろう。その半分の年齢でもできない人の方がはるかに多いのだ。

 

「だから、今年のコナは『去年のオレとは違うんだ』って気持ちが強かった」

「フィニッシュラインに向かうカーペット上で、稲田さんの走りはすごく力強かったです」

 

「ゴールの大歓声、本当に驚きましたよ。地響きのようなというか、何語かも分からない叫び声が僕の身体を打ったんです。足が震えました」

 

全世界のトライアスリートが稲田さんを応援していたはずだ。稲田さんが現れる10分前、DJが「ヒロム・イナダがもうすぐ来るぞ!」とアナウンスしたことも手伝い、カイルア・コナは凄まじい熱気に包まれたことだろう。稲田さんが現れた瞬間の地響きや叫び声は想像に難くない。稲田さんは、ヒーローなのだ。

 

mr-hiromu-inada-is-an-ironman

 

「その叫び声の中に、アキコさんのもあったんだよね?泣いたって言ってたよね」と隣のアキコを見ると、彼女はもう涙ぐんでいる。

 

「稲田さんがタターっとカーペットを進んじゃうから、私たちは先に進めなかったけど、フィニッシュラインを越えた瞬間は見ました。もう、号泣です

 

「えっ、アキちゃん、そうだったの!? ^o^」

 

ものすごく嬉しそうな稲田さん。アキコはきっと#うをーー!!とやっていたことだろう。そうに違いない。

 

「そうだったんですか〜。初耳です。最近アキちゃん冷たいからな〜」

 

え?そうなんですか?

 

「一緒にバイク練習してても、前を引いてくれなくなったんですよ!『それどころじゃない!』とか言われちゃったり」

 

「それは許せませんね」

 

「でしょ?今週末、館山合宿なんですけどね。もう前は引いてくれないのかな〜

 

 

「引いてさしあげなさい (くわっ 」

 

「は、はははい。。。」

 

こうして、硬軟入り乱れたレジェンド・稲田さんとの楽しいミーティングが終わった。その後、稲田さんとアキコは横浜ランチを楽しんできたはずだ。

 

inada-san-and-on

 

今日、遠藤さんがFacebookでこう言っていた。

 

道は稲田さんが作ってくれた。
ボクらはそれを進むだけだから、断然楽だ。
今の夢は50年後、80歳を超えても、仲間と一緒にトライアスロンを続けていて、楽しんでいること。
そして、ハワイに出ていること。
IRONMANに年間2本くらい出続ければ、その頃には通算100レースくらいいっちゃうけど、
今は目の前のレースに向けて粛々淡々とやるのみ。

 

道を作るのは並大抵ではない。後に続く者が、いつまでも目標として輝く人。

それはやはり「スター」であり「ヒーロー」なのだと思う。

ただ、稲田さんはこう言っていたけれど。

 

「僕は本当に何も凄くないんだよ。まわりで支えてくれる仲間が凄くて、そのお陰でここにいる」

 

 

稲田さん、ありがとうございました。

 

次回「今泉奈緒美の話」に続く

※ 稲田さんのお話を聞けて幸せでした、下の応援バナーのクリックをお願いします。
にほんブログ村 その他スポーツブログ トライアスロンへ
にほんブログ村

 - ブログ