アイアンマン・ケアンズ挑戦記 2017 – 第9話「まぐれのない、2度目のアイアンマンへ」

      2017/06/27

スイムスタート前_応援ボード

第8話「楽しい淡々とした準備」に戻る

 

6月11日(日)、レース当日。朝3時半。

起床と同時に腹具合を確認する。あまり調子は良くない。海外出張のときもそうだが、その土地の水に慣れるまでに3-4日はかかる。今日がケアンズ3日目なので、まだ慣れるか慣れないかギリギリのところだろう。ストッパを1錠飲んでおく。

4時半のシャトルバスでパームコーブに向かい、じっくり時間をかけてバイクに補給食とドリンクをセットする。準備を終えて、もう一度トイレへ。良くも悪くもない、微妙な感じだ。

レース開始時刻の7時半まで、あと1時間以上ある。全て準備が終わったので、芝生を見つけて寝転ぶ。徐々に夜が明けていく。もうレースは目前だというのに、相変わらず実感は湧いてこない。

ケアンズ_朝焼け

 

スタート30分前、ブルトレのスピードスーツを着る。Lサイズだが、上半身がかなりタイトだ。上半身部分は着ないで腰部分に丸めて入れるようにやり直す。その上からウェットスーツを着て、脇の下や首回りに重点的にワセリンを塗る。

ウェットスーツを着込んだ後は、さっきまで着ていた服を “Street Gear Bag”というフィニッシュ後に受け取るバッグに入れ、それを預ける。そして、パームコーブの砂浜に足を踏み入れる。

昨年と同様、スイムスタート地点はZone 1-4に分かれている。予想タイム1時間前後の一番速い選手たちが Zone 1、制限時間ギリギリを想定する一番遅い選手たちが Zone 4だ。

本来であれば、俺はZone 3とZone 4の間くらいが妥当なのだ。しかし、ジャックさんによれば、時間帯が後ろにずれ込めばずれ込むほど、波は高くうねりは強くなるらしい。

「Zone 2のすぐ後ろあたりから行くのがいいですよ」というジャックさんのアドバイスに従い、Zone 2とZone 3 の間に陣取る。この方法をとっても、ケアンズは5人ぐらいずつのローリングスタートなので、たとえ遅かったとしても他の選手の迷惑になることはないらしい。

遠藤さんは昨年と同じようにZone 1にいる。次に会えるのはフィニッシュ後。カズみずお吉澤さんと一緒に写真を撮りながら、なんとか完走だけはしたいと願う。

スイムスタート直前

 

いよいよだ。2度目のケアンズがもうすぐ始まる。

初めてのケアンズは、苦戦はしたが高揚感のままにフィニッシュラインまで突き進んだ。アイアンマン・ジャパン北海道での悔しさを晴らすため、絶対にアイアンマンになるのだという強い気持ちがあった。

今回はどうだろうか。高揚感より不安感の方が強い。加えて、知っているコースだけに怖さがある。目の前で展開される大きな波やうねりが不安な気持ちをかきたてる。

「去年の海の方が凄かった。今年は大丈夫だ」と思う反面、「去年のケアンズはまぐれだったんじゃないか」という考えが頭をよぎる。2度目にまぐれはない。実際、2度目の宮古島トライアスロンではDNFに終わった。

 

「博紀〜!」

 

ネガティブな考えが頭の中を巡り始めたとき、まどかの声が耳に入った。今回のために作ってくれた応援ボードを掲げている。そこにはこう書いてある。

 

“HIROKI THE IRONMAN”

 

昨晩、彼女はこう言っていた。

 

「博紀はもうアイアンマンなんだよね。

だから、今回は “THE”って入れてみた!

『アイアンマンでおなじみの博紀』って感じ? ^o^」

 

今回、アイアンマンになれなかったら、この応援ボードが嘘になってしまう。それはダメだ。

応援ボードを手に取り、まどかと一緒に写真を撮る。去年と同じように笑顔をひねり出す。しかし、目が笑っていない。

スイムスタート前_応援ボード

 

そうしている間に、エリート選手たちが海に飛び出していく。続いて、Zone 1の選手たちもスタートしていく。俺たちの列もジワジワと進んでいく。去年と同じだ。海が近づいてくる。後ろからDJの声が聞こえてきた。

 

“HIROKI! THE IRONMAN!!”

 

まどかの応援ボード、今年も読み上げられたか。なんだろう、持ってるなあいつ。

そのまま海に足を入れる。後ろで応援してくれている仲間たちに手を振る。それでも高揚感は見当たらない。そこだけ去年と違う。

こんな気持ちでレースをスタートするのは初めてだ。それでも行ってみよう。まぐれのない、2度目のアイアンマンへ。

 

第10話「パームコーブのうねり」に続く

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