アイアンマン・ケアンズ挑戦記 2017 – 第8話「楽しい淡々とした準備」

   

記念撮影_パームコーブ

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6月9日(金)、22時。ケアンズ初日の夜。

キャプテン・F・みずおとの再会、アスリート・チェックイン、オフィシャル・マーチャンダイズショップの変、そしてさやかちゃんの泊まるコンドミニアムでのホームパーティー。ケアンズ初日は、盛りだくさんのまま終わろうとしている。

ほーむぱーてー

 

今日は金曜日だからか、ホテルの窓の外からは楽しげな音楽が流れてくる。そんな浮かれた金曜の夜の雰囲気を横目に、俺はコツコツ準備を進める。明日はバイクバッグ・ランバッグ預託、そしてバイク預託が待っている。明日、これらを預ければ、後はレースを待つのみだ。

装備確認

 

23時30分。明日の準備を整え、さあ寝ようと思っていると、外から聴こえる楽しげな音楽がますます盛り上がりを見せている。「うぇーい!」などという声も音楽に混じって聞こえてくる。

音源はどこなのかと思い、ベランダを開ける。その途端、大音量が6階のこの部屋まで飛び込んできた。どうやら、Pullmanの目の前にあるカジノが盛り上がりの元らしい。生演奏でもしているようだ。

ホテル向かいのカジノ

 

外から見る限り、そのカジノは決して大きくない。しかし、この騒々しさはただ事ではない。この小さなカジノがどんどん「ビフ・タネンの娯楽天国」に見えてくる。

23時45分。娯楽天国の盛り上がりはますます勢いを増してくる。とてもじゃないが眠れない。ケアンズ中心地のホテルの落とし穴はこんなところにあったのか。

ベッドでゴロゴロしていると、まどかがスッと耳栓を寄越してくれた。行きのジェットスターでもらった耳栓をキープしていたらしい。そういえば、飛行機を降りる前、彼女は「耳栓は大事だよー」と言っていた気がする。俺は「別にいらないよ」と言って流していたのだが、まさかこんな場面で耳栓が必要になるとは。自分のうかつさを反省しつつ、ありがたく耳栓を受け取る。

23時55分。娯楽天国から音楽が聞こえなくなった。さすがに深夜にはコンサートを止めるのかも知れない。一安心。耳栓を外す。

6月10日(土) 0時。娯楽天国、怒涛のコンサート再開。耳栓再装着。しかし、大音量は容赦なく耳栓を突き抜けてくる。なんという落とし穴だろうか。アイアンマン、あやうし。

娯楽天国

 

翌朝6時半、若干の寝不足感と共に起床。結局、娯楽天国によるパーティーは、深夜にまで及んだ。2時近くまでやっていたような気がする。きっと今夜も娯楽天国なのだろう。ピンチ。

多少の寝不足は残るものの、準備は着々と進んでいく。8時に合流した心強い応援団・かなちゃん、そして遠藤鎌田チームと共にT2でバイクを預ける。ここで預けたバイクはバイク専用シャトルバスに乗せられ、T1のあるパームコーブに行く。

Bike dropoff_T2

 

バイクを預けた後は、ランバッグをT2のラックに引っ掛ける。遠藤さん・カズ・みずお、全員無事完了。

 

「あ。選手更衣室があるね」

「Male と Female がありますね」

「みずお、Femaleの方に立って」

 

チームMale3人とFemaleみずおで記念撮影。

チームMale_Female

 

ランバッグを預け終えて外に出ると、子供版アイアンマンの「アイアンキッズ」が開催されていた。子供たちが戦う姿を見て、明日のフィニッシュラインのイメージを膨らませようと試みる。それでもまだ実感が湧かない。

Iron Kids

 

アイアンキッズを観戦しながらブラついていると、アイアンマンEXPO入り口の大きなビジュアルの男性の足首がふと目についた。昨日、彼の隣でジャンプしていたときには気がつかなかったのだが、彼の足首に日本語のタトゥーを発見。何と書いてあるのか、近づいて見てみる。

アイアンマンEXPO_飛べる

 

「気遣い」

 

または

 

「気○い」

 

どちらかによってまるで違う結果を生み出すことになる。ただおそらく、彼は “Crazy” の意味合いでこのタトゥーを彫ったのではなかろうか。彼がネイティブチェックを入れなかったことが悔やまれる。しかし、ここはあえて「気遣い」と読んでおくことにしよう。そうしよう。

気遣い

 

12時。T2のあるエスプラネードから、T1のあるパームコーブへシャトルバスで移動。遠藤さんは首のダメージを最小限に抑えるため、飛行機でも使っていたゆるスターウォーズネックピローを装備している。最速不動産王は移動にも気を遣う。気遣い。

首の気遣い

 

12時半。パームコーブに到着。相変わらず波は高い。しかし、去年の海を知っているので、あのときほどの恐怖感はない。遠藤さんがブルトレのバナーを持ってきていたので、みんなで記念撮影。全員揃って完走したい。一番危ういのは俺だが。

記念撮影_パームコーブ

 

バイクの確認に向かってると、とんでもない看板を目にした。

 

“CROCODILES MAY BE PRESENT IN THESE WATERS” (このへんワニがいるかもよ)

 

なんつう看板だ。対処のしようがない。ワニもさることながら、上のホイミスライムも気になる。

このへんワニがいるかもよ

 

ワニもホイミスライムも気になるが、当面やるべきことは、バイクの到着確認とバイクバッグの預託。俺のCEEPOは無事ラックにかかっている。明日の朝、タイヤに空気を入れ、ボトルと補給食をセットすればレーススタートを待つばかり。

CEEPO_T1

 

レースの準備は全て終わった。あとはうまいメシを食って眠るだけだ。

俺とまどかは、Pullmanからタクシーに乗り、昨年のレース前日と同じ場所に来た。“Tia’s Cafe” という名のタイ料理屋。ケアンズ中心地から1.5kmほど離れている上に、観光客は見逃してしまいそうな渋い佇まいだが、今まで食べたことのあるタイ料理屋の中で間違いなく3本の指に入る。

Tia's Cafe_1

 

トムヤムクン、パッタイ、パッシーユ、カオマンガイを注文。きっと食べきれないとは思ったが、食べきれないときは包んでくれるので安心だ。

Tia's Cafe_4

 

トムヤムクンを一口すすり、あまりのうまさにテンションがうなぎ登りになっていると、次の料理を運んできてくれた店員さんが驚いた顔をしている。俺の顔を覗き込みながら、「あなた去年もここに来たわよね?」と言ってきた。

驚いた。ここはいつも混雑している人気店。それなのに、1年前に来たきりの俺を覚えてくれているとは嬉しい。

「あの人凄いな。よく覚えてたな」とまどかに言うと、「博紀みたいな体型のアジア人がいないからじゃないかなー」などと言ってくる。

しかし俺は声を大にして言いたい。ここオーストラリアでは、俺程度の体格の男なんぞゴロゴロしている。むしろ俺はスレンダーと言っても過言ではない。

 

「うん。あとひげね」

 

ひげの男なんてもっといるじゃねーか!なんだその基準は。

ともかく、俺を覚えていてくれた店員さんと一緒に写真を撮る。またいつか来られるだろうか。

Tia's Cafe_3

 

20時半。やや痛みが出てきた腰を緩めるため風呂に浸かる。持ち物チェックを終え、仕上げにレースナンバーのタトゥーシールを貼り付ける。これで全て準備は整った。

759_Hiroki Komada

 

こうして、楽しい一方で驚くほど淡々とレースの準備は進んでいった。アイアンマンに出るという実感は、あの高揚感は、いつになったら湧いてくるのだろう。去年の自分との違いに戸惑う。

 

(明日になったらきっと大丈夫だろう……)

 

そう願いつつ、ベッドにもぐり込む。まだ今のところ、娯楽天国からハイテンションミュージックは聴こえてこない。今のうちに寝てしまおう。レースまであと11時間。

 

第9話「まぐれのない、2度目のアイアンマンへ」に続く

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