アイアンマン・ケアンズ挑戦記 2017 – 第15話「老紳士との再会、T2簡易トイレの攻防」

   

IM Cairns run start

第14話「旅のようなレース」に戻る

 

T2テント内でクラウドフライヤーに履き替えているとき、後ろから声をかけられた。

 

「お前、何度も会ったな!最後、速かったな!!」

 

白いヒゲを生やした優しげな風貌。意外とハイテンションな声。恩人、老紳士がそこにいた。

 

「あなたのおかげでバイク完走できました!ありがとうございました!」

 

思わず握手し、そのままハグをする。「俺もお前を追いかけてきたんだよ」と言う老紳士。わずか数十キロ、ほんの数回抜いたり抜かれたりしただけの関係なのに、お互いに満面の笑みを浮かべてハグしているのが不思議だ。きっと、一緒に旅をした仲間のように感じているのだろう。

 

「あとはフルマラソンだけですね。フィニッシュラインで」

 

老紳士にそう言い残し、T2テントを後にする。T1と同じように、テント目の前に簡易トイレがあったので、念のため入っておく。

T1トイレで演じた大暴れは記憶に新しい。あのときに得たコツは覚えている。

フロントジッパーを全開にし、スピードスーツの股間から両手を突っ込んで「じんわ〜」となるまで温め、アイツを引きずり出して腰を90度に曲げ……

 

 

ガチャ……

 

 

「オウ!!?」「アオッ!!」

 

 

バタン……

 

 

再び背後から聞こえる老紳士の声。それと同時に飛び出たマイケルジャクソン的叫び。すかさずバタンと閉じられた簡易トイレのドア。腰を90度にした状態で佇むハマのダンディズム39歳。カオス。

英語で「アオッ」と叫んだのは、当然ながら人生初。せっかく老紳士といい感じで別れたというのに、台無しだ。

半笑いで簡易トイレを後にし、ランスタートのゲートを出る。すると、そこに70.3を終えたさやかちゃんホシノさんが、もっと半笑いで俺を迎えてくれた。どうやら、簡易トイレの攻防の一部始終を見届けてくれたらしい。

IM Cairns run start

 

「私の友達が、なんかごめんなさいね」

 

「ったく、カギくらいかけろってんだ!でもアイツ速かったぜ!」

 

そんな会話が俺の知らないところで交わされていたと知ったのは、レース後のお話。

 

第16話「ランナーズハイ」に続く

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