ハセツネ30K → 17K 疾走篇 – 第6話「徳を積みたいダンディズム」

      2017/04/10

食うかい

第5話「厳寒の武蔵五日市」に戻る

 

4月1日(土) 12時半。天気は引き続き小雨。

寒い。GARMINチームから貸してもらった椅子の上に丸まるように座り、細かく震えて体温を上げることに努める。

「ひろきは山をなめがち。これ、ひろきあるあるね」とLINEでまどかからツッコミが入ってくる。おのれ…しかし返す言葉もない。

そして、今の俺には百式もない。まさかEXPOで百式の出番があるとは思っていなかったし、それに去年の百式は、博多出張のときに「ダンディズムナイト in 博多」を主催してくれた香月くんにプレゼントしてしまった。

香月百式

 

思えば、あの百式はアシックスチームの澤田さんにもらったものだった。ハセツネ本戦のヤスコの応援で20km地点の山中に赴いたとき、「山をなめがち」な俺とカズは、あまりの寒さに凍えて史上初の「応援DNF」になる寸前だった。

そんな俺をみかねた澤田さんが、笑いながら俺に金ピカシートを譲ってくれたのだ。その金ピカシートをまとった俺は、選手たちのヘッドランプの光を存分に反射し続け、「異様に目立ってましたよ駒田さんw」と選手たちから言われる有様だった。準備不足のせいなのでお恥ずかしい限りだったが、開き直って「百式は光るものです。どうぞよろしく」と言い放ったところ、すっかり百式として局地的にお馴染みになったのだった。

そういえば、この前の東京マラソンEXPO2017でも「百式さんですよね!」と声をかけられたことが5回ほどあった。一応言っておくが、百式はモビルスーツの名前であって人の名前ではない。

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※ 上画像: 2016年、ハセツネ本戦の百式さん。

 

アシックスチームといいGARMINチームといい、どうしてみんなこんなに優しいのだろう。Onは、というか俺は、みんなに助けられて生きている。文字通り、命の恩人といっても過言ではない。そして今、俺はまたもや危機に瀕している。たしけてくれ。

 

「ズズッ……ぷはー……」

 

なんだ、このうまそうで温かな音は。震えながら隣のブーススポーツアシストを見ると、山崎さんがカップラをすすっている。麺とスープをすすった山崎さんの口から、湯気がもうもうと立ちのぼる。異様に魅力的な光景だ。

 

「ど、どこですか。。どこで手に入れたんですか。。。」と血走った目で山崎さんに迫ると、「あっちの管理事務所で売ってますよ〜。お湯も入れてくれますよ」と、にこやかに教えてくれた。すかさず管理事務所にダッシュ。「ごつ盛り 豚骨醤油」を購入し、優しいおばちゃんにお湯を入れてもらう。

スープがこぼれないようにホクホクでブースに戻ると、ヤスコとトシが青白い顔をしてしにかけていた。そうかそうか、しんどいか皆の衆。今助けてやるぞ。

ごつ盛り醤油豚骨_1

 

「ら、ラーメン。。あったかそう。。。」

 

ヤスコがガクガクしながら俺のごつ盛り醤油豚骨に手を伸ばしてくる。普段、ラーメンにあまりやる気を見せるタイプではないのだが、さすがに今は緊急事態か。

よしいいだろう。GARMIN、アシックス、そしてスポーツアシスト。人から受けた優しさは、別の人に返すのもダンディズム。食うかい?

食うかい

 

ハフハフ言いながらスープを飲むヤスコ。ヤスコからバトンを受け取るようにカップラを受け取り、これまた豚骨スープをすするトシ。そうかそうかうまいか。

 

「はぁ。。ありがとうございました。。。」

 

少し顔に赤みの戻ったヤスコ・トシからカップラを受け取り、満を持して割り箸を割る。

 

ベキ。。パリパリ。。。

 

なんということだろう。割り箸が意図しないポジションでポッキリ割れた。

片方はこんぼう、そしてもう片方は竹やりのようになってしまった割り箸。「はぐぅ。。。」とため息とも悲鳴ともつかない声が漏れる。

なんでだ。徳を積んだはずのこのダンディズムに、なんでこんな仕打ちを。

 

「お、おれのわりばしが。。。(泣) 」

 

思わず泣き崩れる。エイプリルフールでもなんでもなく、本当に軽く涙がにじむ。寒すぎて情緒不安定になっているのだろうか。

そんな俺を見て、ヤスコもトシも、そして山崎さんまでゲラゲラ笑っている。ゆるせん。

徳とかどうでもいい。奴らにどうか天誅を。

ごつ盛り醤油豚骨_3

 

第7話「コース短縮、悲しみのPAIL TOILET」に続く

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