ハセツネ観戦記 2017 – 第6話「太陽拳の光と影」

   

太陽拳_1

第5話「俺たち浮かれた応援隊」に戻る

 

まだ17時を過ぎたばかりだというのに、この暗さは一体なんなのだ。

 

「はい!根っこ!根っこ!石っ!」

「ねっこねっこいし!」「ねっこねっこいし!!」

 

ヘッドランプを装備した先頭のヤスコが叫び、その後に続くカズトシが復唱している。「予告DNFの秋元」の行方が知れないというのに、そのテンションはなんなのだ。今彼が味わっている苦しさを思えば、俺はこうしてうつむき加減に歩かざるを得ないというのに。うつむいているのはライト使ってるからだけど。

浅間峠下山

 

急な山道で、真っ暗なところ足元を確認しながらゆっくり進んでいると、たった2.5kmほどの道程に40分弱かかってしまった。山道を出ると、レースに出てもいないというのに、全員クタクタになってしまった。

馴染みのスーパー銭湯で暖をとり、これまた馴染みの「音羽鮨」で新名物の激辛タンタン麺をすする。このタンタン麺、全く期待していなかったというのに、とんでもなくうまい。これほどうまいタンタン麺は、他に類を見ない。

ただ、一番辛くないはずの「1辛」を選んだはずなのに、地獄のように辛い。カズは頭のてっぺんから水をかぶったような汗をかいている。逆に、普段汗かきの俺は、汗一滴たりとも出てこない。口を中心に顔全体が痺れ、胃から下の方に寒気を感じる。そんな不自然な状態になってまで、俺もカズもスープを飲み続けてしまう。

音羽鮨_タンタン麺

 

「ところでひろきさん」

 

なんだねヤスコさん。いま、それどころではないのだが。

 

秋元さん、今頃どのあたりにいますかね?」

 

「あと6時間は来ません。浅間峠まで」

 

「それ、間に合わないんじゃ。。。」

 

全身に寒気を感じつつタンタン麺を完食し、フィニッシュ会場でもある五日市会館に急いで戻った直後、20時48分、上田瑠偉選手がフィニッシュした。浅間峠で彼を見送ってから2.5kmの山道をのんびり降り、風呂に入ってタンタン麺をすすっている間、彼は50km余りを駆け抜けたことになる。なんかごめん。

上田瑠偉選手優勝

 

その後、続々とトップ選手たちがフィニッシュしていく。HOKAを履いている選手が帰ってくると、どこからともなく現れた安藤師がスッとプレス陣に紛れ込む。

太陽拳_2

 

夜のフィニッシュ会場を煌々と照らすフラッシュライトを存分に反射する師。偉大なランナーである師は、なんと太陽拳までつかうようだ。眩しくて選手が目に入らない。カズトシヤスコのゲラゲラ笑う声がフィニッシュ会場に響く。

太陽拳_1

 

 

「あ〜おかしい…

……で、秋元さんはいつ頃戻ってきますかね?」

 

 

「あと17時間は来ません」

 

 

「それ、制限時間すぎてるからw」

 

とりあえず宿に戻って仮眠とろうぜ。腹がおかしい。

 

第7話「大瀬かずふみ or たかふみ」に続く

※ 安藤師の太陽拳の光に隠れた影、秋元さんの運命やいかに。応援バナーのクリックをお願いします。
にほんブログ村 その他スポーツブログ トライアスロンへ
にほんブログ村

 - ハセツネ2017