ハセツネ挑戦記 2016 – 最終話「おつかれ、フィニッシャー」

   

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第12話「ヤスコ奮戦、俺たち死闘」に戻る

 

「ヤスコ、かなり辛そうだったな」

「百式にもツッコんできませんでしたもんね。。」

 

完走できそうかと問いかけたとき、彼女は首をかしげた。あんなヤスコははじめてみる。どんなコンディションであってもフルマラソンならサブ4、100kmでも完走できる力があるというのに。

 

「14-5時間が目標って言ってたけど、かなりずれ込む可能性があるな」

「ですね、いつ連絡がきても行けるように準備して寝ましょう」

 

起きた瞬間に飛び出せるよう装備を整え、俺たちは油屋旅館の一室で眠りについた。

一瞬で眠りに落ちるカズ。恒例のイビキが聞こえてくる。いつもならそのイビキでなかなか寝つけないはずなのだが、いつの間にか意識が遠ざかっていた。

 

2016年10月10日(月)、3時8分。ヤスコからLINEで入電。

 

「58km地点です。生きてます。遅くてすみません」

 

生きてて何より!

 

すぐさま飛び起き、パパッと準備して外に出る。無事に帰ってこい。

5時30分、フィニッシュライン。かなり寒い。身体を温めるため、猪ラーメンを食べつつ待つ。昨日の夜からラーメンばかり食べている気がする。

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「17時間経ちましたね。。」

 

「そろそろだな、きっと…」

 

当初のフィニッシュ予想時刻から2時間が過ぎた。きっと無事に戻ってくるはずだ。

 

「あっ、来た!ヤスコさーん!!」

 

笑顔を浮かべたヤスコが向こうから走ってくる。思った以上に軽快だ。

 

前原靖子、17時間10分35秒、見事完走。

 

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「あれ?意外とキレイな感じですねw」

 

「もっとボロカスの泥まみれで、まつ毛とか半分ズレてるかと思ったんだけどな」

 

「つけまじゃないわ。。。」

 

おう、ツッコめるか。よかった、20km地点より元気になっているようだ。

さあ、サロモンのFINISHERキャップをもらってくるがいい。そしたら風呂に連れて行ってやろう。

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油屋旅館で風呂に入ったヤスコは、部屋でパタリと眠ってしまった。疲れていないはずの俺とカズも、そのまま眠ってしまう。

3時間ほど眠った後、俺たちはブースに戻った。当然のことながら、ほとんどブース会場に人はいない。外に出て、フィニッシャーたちの勇姿を見届ける。

宮古島やアイアンマンとは違い、無骨で飾り気のないフィニッシュライン。だが、そこに飛び込む人たちの表情は明るく力強い。人によってはアイアンマンを超える長旅だ。フィニッシャーたちを心の底から尊敬する。

14時、最終走者を見届ける。ブースの撤収も終え、ハセツネが終了した。

一方、ハワイではアイアンマン・ワールドチャンピオンシップも終了。遠藤さんをはじめ、仲間たちは皆無事に完走したようだ。フレデリック・ヴァン・リルデたち、海外のOnアスリートたちも見事やり遂げた。

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武蔵五日市とコナ、あちこちの状況をにらみつつ、山を登ったり降りたりしつつ、ときには凍死するかと思ったり、充実の2日間が終わろうとしている。

 

「いや〜、熱い2日間でしたね!」

 

「俺たちゃ凍死するかと思ったけどなw」

 

「ヤスコさんや遠藤さんにやる気もらいましたね!」

 

お?やる気出たのか、カズさんや。

 

「…コナやるのかい?」

 

「具体的なコメントは差し控えさせていただきます。。m(_ _)m」

 

コナに出るときには、「カマデリック・カズ・リルデ」と呼んでやろう。

 

「それ、絶対誰も言えないですよw 噛みますよww」

 

カズの言う通り、確かに刺激をもらえた2日間だった。9月の伊良湖トライアスロンが終わって以来、「次のレースはしばらく考えたくない」と思っていたのだが、またやりたいと自然に思えた。

そう思わせてくれたひとり、夜通し走り続けたヤスコ。レース中に唯一撮ったという、午前4時半の日の出山の山頂からの写真を眺めながら、彼女の頑張りを想像する。

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「このあたり、金ピカのやつに包まって寝てる人たくさんいたんですよ〜。

 

っていうか、ヒロキさん、なんでアレ持ってたんですか?『百式』ってなんですか?」

 

 

「それは話せば長いんだけどな…」

 

俺の話よりヤスコの話を聞きたいと思っていたのだが、ヤスコはいつの間にか後部座席で眠ってしまった。

お疲れさま、フィニッシャー。さあ、横浜に帰ろう。

 

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<ハセツネ挑戦記 2016、完>

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