琉球古武道空手道 真光流 拳生会、入門。
2017/03/18

「琉球古武道空手道 真光流 拳生会」
東急池上線の雪が谷大塚駅と御嶽山駅の間あたりに位置する、ごく普通の一軒家。普通でないのは「小暮」という表札の隣にかかっている、いかにも重々しい雰囲気を醸し出す道場の看板。
「ここ、ずっと前からあるのよね」と言いながら、母親がインターホンを押す。しばらくすると、痩せた白髪のおじいさんが出てきた。
おじいさんの背中越しに、それなりの広さの板の間が見えた。一般家庭にしては広すぎる板の間。しかし、道場としてはむしろ狭いように思えた。それに、何と言っても静かだ。練習生らしき人が誰もいない。
「あのう、ここ空手の道場ですよね…?」
俺が思っていたことと同じことを、母親が切り出してくれる。俺はどうしていいか分からず、母親の後ろにただ立って成り行きを見守る。
「はい、そうですよ」
おじいさんが答える。そして、「入門ご希望ですか?」と先に聞いてくれた。そのとき、「この人が先生なんだ」と分かった。荒々しさとは無縁の、物腰の柔らかいおじいさん。
「はい」
母親が答える前に、とっさに声が出た。道場らしくない道場。穏やかそうな先生。ここがいい、と直感的に思った。
「それなら、この入門誓約書にサインをお願いしますね」
おじいさん先生が一枚の紙を取り出して、俺に差し出した。その差し出す手は、少し震えていた。
「稽古は毎週日曜日、夕方5時からです」
「はい、よろしくお願いします」
これが、俺の人生に最も影響を与えてくださった小暮最高師範との出会い。
その後約5年間、おそらく最後の直弟子として、俺は小暮先生に鍛えていただくことになる。
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