ボンフツという荒行、その4。

      2017/01/16

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前回「ボンフツという荒行、その3」に戻る

 

「地味なスタートだね。。。」

 

しげ選手がスタートと同時にそう呟いたのは、間違いではなかった。2本目あたりから確信した。確かに地味だ。なにしろ、景色が全く変わらない。そして、階段には日が差さない。

 

開始から17分、8本終了。あと100本。先のことは考えたくねぇ。

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開始から1時間15分、30本終了。

3.5m x 8階 x 30往復 = 840m。計算上、ターゲットにしていたブルジュ・ハリファ (828m)を超えた。しかし、まだ三分の一もいっていない。「これは本格的にヤバいかも知れない」と思い始める。

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開始から2時間5分。48本終了。

脚が震え始めた。汗もボタボタ落ちてくる。エイドステーション (しげ邸) でプロテインとコーラを補給し、すぐに外に飛び出す。腰を落ち着けてしまったらもう再開できない。

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「ヒロキ、なんか膝がヤバくなりそうだよ…」

 

50本を過ぎたあたりで、しげ選手が不安をもらす。「54本でやめた方がいい」と伝える。54往復だって、行き帰りで2本と考えれば、ボンフツ成立と言えなくもない。

 

あれ…?

 

それなら俺もやめてもいいんじゃないかな?

 

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しげ選手がハーフボンフツビルクライムを完遂した後、「そもそもなんでこんなことやってるんだろう」と思いつつ、俺はなんとなく惰性で登ったり降りたりを続けていた。しかし、50本を過ぎたあたりから、絶望的な気持ちが鎌首をもたげてきていた。

 

開始から3時間18分、78本終了。

ひたすらしんどい。右膝周りが少し痛む。指先が若干痺れてきている。閉ざされた空間をただ行ったり来たりするのが、これほど苦しいとは。穴を掘ってすぐに埋めるようなイメージが湧いてくる。

ここで気がついた。「閉ざされた空間を行ったり来たり」とか「穴を掘ってすぐに埋める」のようなネガティブなことばかり考えている。実際のレースでこんなことを考えたら、即DNFだ。

ひとまずエイドステーションに立ち寄り、バナナとリンゴジュースを飲んで補給する。腸脛靱帯を手のひらでグリグリ押してマッサージする。少しでも回復を。

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補給をしてコースに復帰してみると、気持ちと考え方が少し変わったようだ。コースの変化のなさはもう無視して、身体の動きと様子の変化だけに意識を向けることにしよう。

しかし、それもしばらくしたら変化してきた。ほぼ無心。たまに、「クラウドってやっぱいいな」とか「コーラ飲みてぇ」とか、取り留めもない考えが浮かんでは消える。

気がつくと、開始から4時間が過ぎていた。大晦日にフルマラソンと同じくらいの時間、ただ壮大な踏み台昇降をしているなんて、これはなかなかオツではないか。ボンフツらしいではないか。

 

開始から4時間5分、93本終了。

ここまで来ていたか。残り、15本。脚はかなり痛い。でもマッサージすれば動く。先が見えてきたことで、気持ち的にも盛り上がりつつある。大丈夫、イケる。

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「100」

 

ついに100往復。果てしなく地味な挑戦を応援してくれているしげ選手・みかさん、そしてまどかに超短いLINEを入れる。すると、彼らは表に出てきてくれた。

「同伴ゴールしようと思って〜」とみかさんが言う。伊良湖トライアスロンでしげ選手と同伴フィニッシュした彼女の笑顔を思い出す。
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。。。

 

ごめん、あれより864倍くらい地味だと思います。

 

 

日の差さない階段を降りきったところの仮想フィニッシュラインに降りていく。

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ボンフツしげビルクライム、フィニッシュ。

 

地味すぎる挑戦のわりに、フィニッシュした途端喜びが爆発。

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864階分、3,024m登って3,024m下る。

12,096段登って12,096段下る。

所要時間、4時間50分。

 

これで、自分の中で「ボンフツ」をやったと言い切れる。あとは家族でうまいメシを。

さよなら、ありがとう2016年。

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次回「AWAからの依頼、私の疾走プレイリスト」に続く

 

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