空手ガンプラマラソン詐欺、荒行中の荒行 – 第4話「ヒロキ・コマダ二等兵」

   

Zaku_1

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RG (リアルグレード) と銘打たれたこのキット、確かに出来はいい。小学生の頃に作った、膝の曲がらないガンプラとは雲泥の差だ。

しかし、俺はまだ満足していなかった。ただ組み立てたこの状態では新兵も新兵。学徒兵と大差ない。

Zaku without weathering

俺の好きな「ジオンのザク」は、歴戦の勇姿然としていなければならない。問題は、このツヤツヤ感だ。戦闘に戦闘を重ねたザクが、こんなツヤツヤしているわけがない。擦れ、打ち付けられ、泥に塗れていて欲しい。

小学生の頃、プラモデル作りが非常にうまい奴がいた。そいつによれば、リアル感を出すための「ウェザリング」という技法があるらしい。風雨にさらされたような質感を出す技術だという。俺はまたもや検索し、ウェザリングの基本を勉強した。そして翌日、仕事もそこそこに上野の模型屋に走った。

模型屋にはところ狭しとプラモデル、塗料、各種工具が揃っていた。このワクワク感はどうしたことだろう。ネガティブ名言ばかり食らってきたここ数ヶ月間、味わったことのない高揚感だ。

あれもこれも欲しくなってしまうが、今回の目的はウェザリング。俺は、「ガンダムリアルタッチマーカー」という汚し塗装をお手軽に楽しめるペンセットと、「スミイレシャープペン」という墨入れ作業を簡単にこなせてしまうシャーペンを買った。ちなみに、「スミイレ (墨入れ)」とは、プラモデルの凹凸部分やスジが彫り込まれている部分を暗い色で強調する技法だ。これで立体感が大幅に増し、迫力が出るというわけだ。

これで、あのツヤツヤ学徒兵が歴戦の勇姿に生まれ変わるはずだ。俺は意気揚々と鎌倉に直帰した。

俺は組み上がったザクを前に想像した。連邦と熾烈な戦いを繰り広げたヒロキ・コマダ二等兵は、どこにどんなダメージを食らったのだろう。

シールドは撃たれ、切られ、ボロボロになっているはずだ。

格闘戦が多かった機体なので、拳や脛には傷が多いはず。

結構雨に降られがちなので、雨垂れの跡も付いているだろう。

見えてきた…。俺のザクの姿が。

俺はおもむろにカッターナイフを台所に持って行った。ガスコンロに火をつけ、カッターナイフの先を炙る。

(これはビームサーベルだ…ビームサーベルだ…)

熱で真っ赤になったカッターナイフで、ザクのシールドを斜めに斬り付ける。熱でプラスチックが溶ける。高温のビームサーベルで斬り付けられた鋼鉄も、きっとこんな感じになるであろう。

続いて、シールドの傷跡の中心を「ガンダムリアルタッチマーカー」で黒く塗る。その周辺は茶色のマーカーを使う。高熱で焦げた質感を再現する。

加えて、ビームサーベルの傷跡の下に、カッターナイフでグリグリと穴を開ける。これは、バルカン砲を食らったのだ。バルカン砲の弾痕にも同様に黒と茶色で塗装する。

さらに、塗ったばかりの黒と茶色を「ぼかしペン」で上から下になぞる。これで、雨垂れや汚れ、そしてサビを表現するのだ。

テーブルに転がったザクのシールドは、ツヤツヤ感が大幅に減り、かなり質感が向上したように見える。

Zaku Shield

それから数時間、全身のパーツをくまなく汚し、斬り付け、撃ち込み、俺のザクはどんどん強くなっていった。これがあの学徒兵か。見違えるようだ。

すっかり歴戦の勇士と化した、ヒロキ・コマダ二等兵専用ザク。最後にポーズをキメさせる。ポーズは最初から決まっていた。征遠鎮だ。

Zaku_1

なんという充実感であろうか。撮影終了後、返す刀で俺は「ガンダム」「シャア専用ズゴック」をAmazonで注文していた。

第5話「ガンプラ廃人寸前、すんでのランナー」に続く

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