空手ガンプラマラソン詐欺、荒行中の荒行 – 第2話「怒りの征遠鎮」

      2016/09/06

征遠鎮

第1話「パンイチ空手」に戻る

(おのれ…バカも休み休み言え……)

2014年9月某日。控えめに表現しても憤慨しながら、俺は鎌倉のマンションに戻ってきた。

その日、俺の人生で五指に入るネガティブ名言駒田君、Onやめることになったからを食らったのだ。ちなみに、ネガティブ名言堂々の1位は2012年9月のことだったのだが、それは別の話だ。

当時の俺の会社がOnの輸入総代理店になると聞いたのは、2012年12月のことだった。輸入総代理店になると決めたのはスイス本社で、俺の所属している日本支社にとっては寝耳に水だった。そこまではいい。よくある話だ。

問題は、スイス本社にしても日本支社にしても、「ランニングシューズ」という商材を扱ったことのある経験者は誰もいなかったことだ。

経験も何もないのに、ポテンシャルが高そうな新興ブランドを見つけたことで、「うちにやらせてくれ。そうしたら将来的にここまで成長させてみせる」と大風呂敷を広げたわけだ。

しかし、その根拠はまるでない。市場のことを知らず、商品のことを知らず、なんなら走ったこともない背広の人間たちが、机上で数字遊びだけして決めたことなのだから当然だ。

結局、スイス本社は、その数字遊びの帳尻合わせを日本支社に丸投げした。そして、丸投げされた日本支社のトップは、流れるように全てを俺に丸投げしたのだ。厄介事を流水の如く末端に流す。それもまたよくある話だ。百歩譲って、そこまでは許せる。

しかし、許せないのはそれからだ。彼らは「本気でブランディングして欲しい」と俺に命じ、俺はそれを本気で受け取った。それなのに、それから1年半で放り出すとは何事か

結局、誰も本気ではなかったのだ。俺以外は。Onを好きになってくれたみんなになんて説明すりゃいいんだ?

(ぬうおおお腹立つ……!)

そして今、俺はこうして行き場のない怒りを征遠鎮(せいえんちん)の形にダイナミックに込めている。深く深く腰を落とし、敵を想定しながらじっくりと動く。パンイチで。

そうだ、いざとなればあのような輩は武力で葬り去れるのだ。

こう!

こう!!

そしてこう!!!

あのネガティブ名言を吐いた上司に対し、下突き → 裏拳正面打ち → 金的への拳槌を続けざまにヒットさせる。脳内で。パンイチで。

征遠鎮
※ 上: 征遠鎮の形。さすがにパンイチバージョンは無い。

30分後、俺の怒りは汗と共にすっかり流されていた。脳内で何度となく奴を粉砕し、謎の全能感に満たされる。

シャワーを浴び、缶ビールを一本開けると、シンプル極まりない結論が浮かび上がってきた。

「いざとなったら、会社なんてやめたらぁ」

どうせ「Onをやるか会社を辞めるか」と二択を迫られていたのだ。Onをやれなくなるなら、ケジメとして会社を辞めたっていいだろう。どうせ、もう結婚してるわけじゃない。俺一人、別に何やったって生きていけるだろう。

人生の岐路を、パンイチ汗だくで決めつつあったそんなとき、On共同創業者のひとり、キャスパーから連絡があった。

第3話「ザクとの出会い」に続く

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